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エピローグ2

「ありがとな。 それじゃあそこへ、行きますか。」 レオニードが劉祜に話しかける。 恰好はごく軽装に見える。 山に入るのさえ危うく見える格好のレオニードに酒屋がぎょっとしている。 「ちょっと、待て、待ちなさい。 あんた等じゃ魔獣の餌だ。」 「大丈夫さ。一応元専門家だから。」 それにこの格好は暗殺のためのものだから。という言葉をレオニードは飲み込む。 山歩きをするには明らかに軽装ではあるが、別に山菜取りをするわけではない。 酒屋を出た二人はすでに買ってあった食糧を背負って、これから向かう山を見渡した。 「王様をやめたことに後悔はありませんか?」 「やり残したことが無いって言ったら嘘になるけど、今はやらなきゃならない事もあるしね。」 君に貰った命だ。大切に使わせてもらうよ。 劉祜の身代わりになったことは事実だが命を渡したという程の事ではない。 事実レオニードも生きているのだ。 いたたまれない様な、少し困った様な、けれど今この人が隣にいてくれることが嬉しいという気持ちが大きい。 レオニードは本当のところ、別にこの人の為であれば命はくれてやれるという感覚だった。 それはこれからも多分変わらない。この人の身代わりになれれば本望だろうと思う。 さすがに二人きりの旅路という訳ではない。 けれど―― 「であれば、俺も命尽き果てるまでお供しよう。」 レオニードは劉祜を見た。 劉祜は困った様に笑った後「俺も愛してるよ。」と言った。 レオニードは愛の告白をしたつもりは無かったけれど、要はそういう事なのだろう。 二人で顔を見合わせて笑顔を浮かべた。 “暴虐王”はいなくなった。 ただ一組の番の姿だけがそこにあった。 二人は寄り添って新たな人生を送り始めた。 了

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