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ユーリィ2
結局僕はこの国のお姫様のお世話をすることになった。
そんな高貴な人のお世話をするなんて思いもしなかった。
幼く見える彼女は前の主とさほど年は変わらないらしい。
この国の事を色々と教えてくれて、いつでも僕を傍らに置いてくださる。
けれど、お姫様には侍女も沢山いるし、それ以外にも警護の人間も沢山いる。
お姫様は足が悪いようだったが、僕が必要な理由は分からなかった。
お姫様には将軍様がそっと寄り添って、彼女の足を労わってくれていたし、浮世離れしたお姫様の言葉からは、僕が話し相手になる利点は何も無いように見えた。
「何故、僕をおそばに置いてくださったのですか?」
ある日、とうとう僕はお姫様に聞いてしまった。
礼儀作法的にまずいのは知っているけれど我慢ができなかったからだ。
言ってからしまったと思いはしたけれど、お姫様は気分を害した様子はなかった。
お姫様はこちらをみてニコリとほほ笑む。
この国の権力事情を考えても僕がここにいるのは、このお姫様の希望なのだろう。
お姫様は「もうすぐわかるわ。」とだけ言った。
無礼は咎められなかった。
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