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めでたしめでたしのその後で1
暴虐王と呼ばれた、悪の皇帝は打倒されました。世界に平和がおとずれました。
めでたしめでたし。
世界がそうなることを劉祜が望んでいたことを、レオニードはよく知っていた。
魔獣を操っていた数人を倒した時の、劉祜の表情が忘れられない。
安堵したように見えたその表情は、打倒 した男の最期の科白で硬直した。
「私たちの他にも、この世界を変えようとしているものはいる。」
断末魔の戯言かもしれない。
実際今のところ魔獣と人間たちの接触は今まで比べて格段に少なくなっている。
本当に他に打ち倒すべき相手がいるのかを今判断するのは早計に思えた。
晃が壮健であることは噂として耳に入ってくる。
だから、……という訳にもいかない事はレオニードにも分かっていた。
「まずは、生活基盤を整えるところからだろうな。」
雇った傭兵たちに賃金を払って別れた後、レオニードは劉祜にそう言った。
悪逆非道の妾妃であるレオニードが浪費をしたという体で作られた軍資金はまだかなり余裕がある。
「あいつが言ったことが本当か探るにしても、それ以外に何をするにしてもまずは普通の生活を普通に始めるべきだろう。」
レオニードの言葉に劉祜は頷く。
他に倒さねばならぬ者がいるのであれば表立って晃達に連絡を取るべきではない。
あの言葉が嘘でも本当でも、今劉祜達がしなければならない事はそれほど変わりは無い。
すると約束したことは成された訳で、レオニード達にできることはもうそれほど多くない。
そうなる様に劉祜を表舞台から引きずり下ろしたのは、他でもないレオニードなのだ。
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