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③
「き、キ、き~貴様ッ!なんて物を持ち込んでいるんだ!
こ、ここここんな、雑誌…」
机の下から出てきた陰山は顔だけじゃなくて、首まで真っ赤かで
そんな陰山を見るのも初めて。
雑誌を持つ手も大きな声も震えている陰山も初めてで…
「あっ、陰山も見よ、見よっ!九條が持って来たんだ、このグラビア雑誌~!
女の子いっぱいいるけど、どの子好き?この水着の子?」
嬉しくなる
せっかく一緒のクラスなんだし、友達になりたい
笑って喋って…と、他のみんなみたいに。
そう思って陰山の机に雑誌を拡げた
「ッ!!!見る訳ない!早くしまえ!」
「イイじゃんイイじゃん!この子、セクシーだよな?なっ、陰山!」
「セクシー…」
俺の指差した雑誌に目を移した陰山
すると…
「ぁ、あ、あ……」
ボボボッ
そんな音が聞こえるぐらいに顔が今よりも赤くなって
「なぁ、大丈夫か?陰山、熱あるんじゃ…」
ちょっと心配になった
長い前髪を上げておでこに手を当てる
「え?な…」
「陰やー…ま?」
と……
恥ずかしいのか伏せていた目が俺とかち合った
(ッ、か……可愛ッ!!)
潤んだ切れ長の目
長い睫毛がフルフルと震えていて、赤くなった顔
その瞬間
ドクンと心臓が跳ねた
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