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第15話

「暁、大好きだよ」 ユウリに抱き付かれ、告げられた言葉が頭の中でリピートする。 そ、それって、その好きは…like 、それとも…まさかのloveですか? 腕の中のユウリをぎゅっと抱きしめ囁く、俺もユウリが大好きだよ、と。 声は震えてしまったけれど、自分の気持ちをユウリに伝えられたからいいんだ。 「暁…」 お互いの顔が触れ合いそうな位置から、ユウリが俺を見上げている。 間近で見てもユウリの美しさが損なわれることはなかった。 長い睫毛はくるんと上を向いているし、瞳は茶にも金にも見える不思議な色合いだ。 薄く色づいた唇が半開きになっているのが、キスを待ち受けているようで俺はゴクリと息を飲んだ。 「ありがとう。暁は本当に僕にとって一番大切な親友なんだ。これからも一緒にいてね」 そう言って微笑むユウリの顔がそれはそれは綺麗で、俺は一瞬その言葉の意味を理解していなかった。 「当たり前だろ、親友なんだから…えっ、親友?」 親友として好きだとユウリは言っていたのか…、まぁそうだよね。 そう都合よく行くわけがないだろと、自分の勘違いを諌める。 「僕にとっては暁はただの友人じゃないから、親友なんだけど。暁は違う?」 俺の語尾が?になってしまったので、ユウリに気まずい思いをさせてしまったようだ。 「もちろん親友だよ。俺にとってもユウリは、すごく大切な人なんだから」 俺にとってユウリは、本当に大切で特別。親友以上に大事な人なんだ。 例えユウリが友達以上の愛情を示してくれなかったとしても、俺のこの気持ちは変わらない。 成就する事のない想いは、切なくて寂しくなる日もあるだろうけど。 それでも俺は、この気持ちを手放すことも、ユウリから離れる事も出来ないんだから。 ※ ※ ※ ※ ※ 「マジ?ユウリの別荘に泊まれるの。すげーじゃん」 「いや、僕の別荘じゃないし。暁、パンくず飛んでる」 ユウリが手土産にと持って来てくれたクラブハウスサンドを、二人で食べながら小旅行の打ち合わせをしていた。 二泊三日の時間があるとは言っても、学生の身分で資金の方はそれほど余裕がある訳ではない。 ユウリと計画していたのも、海の家が経営する民宿に宿泊するというものだった。 だからユウリの申し出が嬉しかったんだ。 実はユウリは高校生ながら会社の理事を勤めていて、その会社が保有する保養施設を無料で借りることが出来ると言うのだ。 断る理由が無いどころが、有り難くお受けするに決まっている。 「ホントにいいの?ユウリに無理させてるわけじゃないよね」 俺に気を使って無理をしてるんじゃないか? それだけが気掛かりだ。 「全然、そんなことは無いよ。本当にその日は、スケジュールが空いてるんだ。逆にそこを使うのでなければ、泊まりは許さないって、マークも言ってて」 はぁ? そんな事言われたら、絶対断れないよ。 「是非、お受けします❗ってマークに伝えてください」 その場にはいないマークに、俺は頭を下げたのだった。

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