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第18話

ああ~、待って、外して❗」 心の中で絶叫しつつ、何でこうなったんだ?と頭を抱える。 そんな俺の目の前で繰り広げられるのは、夏の海で良く見掛ける楽しい遊び…のはずだ。 「あちゃー、失敗したか、次は雅美の番ね」 馬顔の女性が手にした木刀を放り投げる。 「あいよ。全く愛理はノーコンだねー」 受け取った木刀をブンブン振り回しながら、世界のマイコーが答える。 どちらも首から下はビキニの水着で、俗に言うボンキュッボンのナイスバディだ。 夏の砂浜だから、水着姿に違和感はないが、馬面とマイコーの覆面を被った女性たちが、竹刀をぶん回している姿は、何これ~?となるだろう。 ビジュアル的にはインパクト大だが、やっているのは定番のスイカ割りで、本当は俺とユウリの二人で楽しんでいるはずだった。 ※ ※ ※ 小旅行二日目。天気は快晴。俺とユウリは予定通り海へと出掛けた。 保養所から自転車で15分程で辿り着いたそこは、既に海水浴客で賑わっている。 いくつかある海の家の中から俺たちが世話になる事にしたのは、昔ながらの開放的な作りの店だ。三十畳程のスペースにゴザが敷き詰められ、適当な間隔で卓袱台が置かれている。 壁際のスペースに席を確保した俺たちは、朝食には重いかなと思いつつ焼きそばを注文した。そう待つこともなく提供された焼きそばは、鉄板で焼かれたソースの匂いが食欲をそそり、二人とも余裕で完食したいた。 それから、俺たちは一泳ぎしては休み、小腹が空いたら焼イカや焼トウモロコシ等をつまみ食いし、また泳ぐを繰り返す。昼を過ぎる頃には俺もユウリも、肌が火照って赤くなっていた。 「なぁ、ユウリ。スイカ割りしたくない?」 かき氷を食べながらユウリに訊ねる。 「したい。出来るの?」 即答したユウリは、期待に満ちた目を向けてくる。 「もちろん。少し準備があるから、ちょっと待ってて」 「僕も手伝うよ」 立ち上がった俺にユウリも続こうとするが、俺はそれを制した。 「かき氷まだ残ってるし、ユウリはゆっくり食べてて」 俺の言葉にユウリは座り直して、スプーンを手にした。 「ユウリ、ゆっくりだよ。じゃないと頭キーンってなるからね」

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