4 / 113

堅物教授vsドン・ファン学生 4

 こちらの気持ちを一向に察しようとしない目の前のワイルド系イケメンはあっけらかんと「そうでしたっけ」とのたまった。  強引でちゃらんぽらんでマイペース。血液型占いなどというものを全面的に信用しているわけではないが、これはB型の気質に当てはまるのではと思われる。几帳面で神経質を大いに自覚しているA型の私とはもっとも相容れないタイプだ。 「そんなに早い時間に食ったんじゃ、また腹が減ると思うけど」 「大きなお世話だ」 「じゃあコーヒーでも飲みます? 先生はコーヒーがあれば御満悦でしょう」  言うが早いか、彼は喫茶コーナーのコーヒーカップを手にして戻ってきた。  気分を害した様子もなく、コマメに動くところは認めてやらないでもないが、相手のペースに巻き込まれているのが面白くない。  見かけによらない、そのコマメさが女性にモテる秘訣というのも充分承知している。ルックスの良さとの相乗効果で、結城大といえば理工学部一のドン・ファンであるという噂は教授たちの間でも有名だ。  同級生はもとより、下は女子高生から上は熟女までと守備範囲も広く、キャンパスの近辺から新宿・渋谷に横浜と、女性同伴の目撃情報には事欠かないが、担当教授としては少しでもいいから、その情熱を勉学の方へ向けてもらいたいと切望する。

ともだちにシェアしよう!