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賭けの対象? 1
大学の学習制度を支配しているのは単位という考え方である。
年間を通して受講する履修科目のうち、この科目は何単位と定められ、ジャンル毎に設定してある幾つかの科目の中から、決められた単位数を決められた期間で取得しなければならない。
その者に単位を与えるか否かは期末のテストや提出物、日頃の授業態度に対する評価であり、卒業までに取得できなかった者が留年という形になるわけだ。
履修科目には必須科目と選択科目があり、その内訳は各大学、学部や学科によって異なるが、理工学部の場合、研究室に所属した上で取得するのは全て必須科目──文献調査と、卒論の呼び名でお馴染みの卒業論文である。
卒論は四回生のみの必須科目だが、文献調査は三、四と二年連続して取り組む科目で、いったいどのようなことをやるのか説明すると、過去から現在に於いて、世界各国の科学者によって発表された研究の成果をまとめた蔵書があり、学生自身が興味を持った研究をそこから抜粋し、みんなの前で順番に解説するというものである。
これは通常の講義と違い、時間も場所も自由で、研究室各自のやり方で行なえばよく、遺伝研の場合は毎週水曜日の昼休みに全員が集合して行なう手筈になっていた。
その水曜日、昼休みの少し前に所用のあった実験棟を出た私はその足で、すぐ隣にある五階建ての研究棟へと向かった。遺伝研の研究室はここの四階にあり、フロアのほぼ真ん中に位置している。
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