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賭けの対象? 6

「挿絵が何もないじゃん」  子供向けの絵本ではない。 「辞書で単語の意味を調べるところからやらないと」  先輩たちは皆、やってきたことだ。 「頭痛えなー、これ」  ようやく期待していた反応を得た私はつい、口を滑らせた。 「合コンに賭けるエネルギーの半分も使えば簡単に済むはずだ」  すると、こちらを向き直った結城は「もしかして妬いてる?」などと言い放ったため、まずい、突っ込む隙を与えてしまったと焦りをおぼえながらも、私はとぼけて訊いた。 「ヤく? 何を?」 「俺が合コンに行って、女の子たちとヨロシクやってたんじゃないかって、そういう意味ですけど」 「バカバカしい。どうして私が……」 「その心配なら無用ですよ。合コンには行かなかったから」  どういうことだと問うと、男性側の頭数を揃えてのセッティングまでは行なったが、実際に参加したのは松下たちで、結城自身は顔を出さなかったらしい。  嬉しいような、ホッとしたような、奇妙な感覚に襲われつつ、それでも私は「それは相手の女性たちに対して失礼だ。幹事として無責任じゃないか」と正義を振りかざした。 「そりゃまあ……」 「みんなキミが来るのを期待していたんだろう。その気持ちを裏切るなんて」 「やっぱり先生は律儀ですねー。さすが、俺の見込んだ人だ」 「話の争点をずらすな」

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