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賭けの対象? 8
「それがバイからマジゲイへ進化しそうな勢いですよ」
「進化? 何なんだ、それは」
「先生を追っかけているうちに、すっかりマジになっちゃって。まあ、俺の場合、相手に対するこだわりってあんまりないから」
その感覚が守備範囲の広さに影響しているのだろうが、まさか性差にもこだわらないとは、あまりにもアバウトではないか。
「とにかく今は先生ひと筋。他は考えていませんから、どうか安心してください」
「安心って……」
あっけらかんと言ってのける、その様子は飄々として、私は何をどうしたらいいのかもわからずに混乱していたが、我が脳裏にはどういうわけか、いつぞやテレビで目にしたアニメのキャラクターが甦っていた。
たまたまチャンネルを合わせたところ、放映していたそのアニメではオタマジャクシを模したキャラクターが「何なに進化!」と叫んだとたんに、カエルになった。
オタマジャクシがカエルに進化することで、より強力なパワーを得るという話らしいのだが、ならばバイからゲイへと『進化』した彼は女性への興味を失い、その反対に、私に寄せる関心がより強力になった、ということなのだろうか。目の前の色男がカエルに見えてきた。
ともかく、このままノーコメントでいるのも癪に障ると口にしたのは大学教授らしい、それでいて的外れなセリフだった。
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