28 / 113

天敵現る 3

 サーフ&スノーなどという横文字を使った軽いノリのサークル名。サーフィンとスノボーをメインとした同好会の実態はよくある女目当ての軟派なサークルだと、この私でもすぐにわかる。どうせ近くの女子大と合同合宿がお膳立てされているのだろう、いかにも結城が好みそうなお遊びグループだ。 「なるほど。それで私が口出ししたというのはどういう意味かな? 私は彼がそういうサークルに入っていたと、まったく知らなかったのだが」 「嘘でしょう」  そう決めつけると、憎悪を込めてこちらを睨む美少年に私は辟易した。少しは聞く耳を持って欲しい。 「一方的に責められても困るな。結城がキミに何を話したのか教えてくれ、それが私の口出しという結論になったのだろうし」 「わかりました」  三田の説明によると、昨日の午後、サークルの集会にやって来た結城はその場で突然の退部を宣告、驚き、訝る他の部員たちに「研究室での勉強が忙しくなったから」と言い訳したらしい。  しかも、サークル活動などしている場合ではないと私が厭味を言った、そんなふうに吹聴していると聞いて、言ったおぼえのない当人は唖然としてしまった。 「結城先輩はボクの憧れの存在なんです。イケメンで背が高くてカッコイイし、運動神経抜群だし。気が利いて、誰にでも優しくて、女の子にモテるのも当然です。女の子だけじゃない、男にもすっごく人気があるんです。人望があるってやつです」  ふーん、そう。

ともだちにシェアしよう!