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天敵現る 4
「先輩がいたから、その人に勧誘されたから入部したんだ。それなのにやめちゃうなんて悔しい、絶対に許せない!」
とんだ言いがかりだ、冗談じゃない。先輩が退部したのはあんたのせいだと、いわれのない恨みを買った私の方こそ、いい迷惑だ。
三田の興奮が少し収まったのを見計らって、私は「研究室とサークル活動の両立は充分可能だよ」と皮肉っぽく言ってやった。
「だって……」
「私はサークルをやめろなどと、これまで誰にも忠告したことはない。体育会の厳しい練習をこなしながら、立派な論文を書いた先輩は何人もいる。学生とはいえ、二十歳を過ぎた大人だ。両立できるかどうかは自分で判断するもの、先生に言われたからやめました、なんて、情けない言い訳でしかないね」
「結城先輩が情けないとおっしゃるんですか? あの人をバカにするんですか!」
またしても間違った方向に解釈する三田に、私はげんなりした。体育会とは比較にならない、お遊びサークルの活動が研究の妨げになる、などと本気で思う方がどうかしている。
だが、三田の結城に対する傾倒、盲信ぶりはかなり重症で、もしかしたらこいつ、恋情を尊敬に置き換えての、そっちの趣味があるのではと勘繰ってしまった。
華奢で色白の美少年とワイルド系イケメンの組み合わせは似合いすぎるほどお似合いである。男同士という非情な現実を差し引いたとしても、少なくとも親子ほど年の差がある私よりは祝福されるカップルになるだろう。
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