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嫉妬と不覚 6
階段から落ちるという最低のヘマをやらかした私はすっかり自信を失っていた。これで結城に骨折でもされたら、私は辞職を考えなければならなかったかもしれない。
しかし、そもそもの原因が彼と三田のツーショットにあったのだと思うと、ムカッ腹が立ってきた。いわゆる逆ギレだ。
「キミたちがイチャついていなければ、私は階段から落ちるようなマヌケなことにはなっていなかったのに」
なんて、さすがに言えない。
黙ったままでいると、結城は「痛みますか」と訊いてきた。
「脚が少し……」
そんな辛そうな顔をしないでくれ。逆ギレできなくなるではないか。
「骨にヒビが入ったそうです。しばらく歩くのには不便かも、って」
その語りを聞きながら、救急車に一緒に乗ってくれたのも、入院の手続き等をしてくれたのもすべて彼だったとわかった。元来のマメで気が利く性分に加えて、父親の病気と入院で要領を得ていたからだ。
そうと知って心苦しさの中にもわずかな喜びが湧いたが、どこまでもひねくれている私はそれまでのあらゆる負の感情と、さっきのムカッ腹も手伝って、素直に礼を述べることができずにいた。
「キミにはいろいろと世話をかけてしまったようだ、すまない」
「いいえ、それほどでも」
結城の表情がわずかにほころぶ。
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