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嫉妬と不覚 7

「ところで、このパジャマは私のものではないし、どう見ても病院の備品ではなさそうなんだが」  その時私が身につけていたのは黒地に赤やら黄色の模様が入った派手なデザインのパジャマで、自分では絶対に買わないような品である。  私は文房具を買うために財布を持っていた。それのみならず、携帯電話から免許証、自宅の鍵といった貴重品全部をたまたま所持していたのはこの際、不幸中の幸いだったが、財布の中身はそのまま。結城は入院グッズの資金をどうやって都合したのだろうか。 「キミは金がなくて困っていたんだろう、まさか無理して買い揃えたんじゃ……」  今度は困惑の色を浮かべた彼は「いえ、借りたんです」と答えた。 「借りた?」 「ええ、その、三田に」  なんと、私は結城を通じて三田に借りを作っていたことになる。今すぐ退院して返金したい気持ちにかられた。 「あいつの家って、すげえ金持ちで。貸してくれってもちかけて、金をポンと出せるヤツなんて他にいない、つーか」  それは彼の身なりを見ただけの私でも充分察せられたが。 「親父がどこだかの社長で顔が広いそうです。合宿に使うホテルを安く紹介するとか、サークル活動にもいろいろと貢献してるんで、頼むから機嫌を損ねるような真似だけはしてくれるなって、部長たちに釘を刺されまして」

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