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パンダと茄子とクリスマス 14
「当然だね。誠意のない恋愛はしたくない」
とは言いつつも、尚彦との紆余曲折を辿る十数年の間、二股以上に大変な状況に陥ったことは何度もある。
お互いに数多くの男女の関心を集め、複雑な事情からそれぞれの感情がこんがらがってしまった。私も彼も若かったし、想いを貫くほど一途にはなれなかった。
そんな過去の出来事なのだが、私自身に誠意がなかったとは思いたくないし、誰かを弄ぶような恥ずべきことは決してやっていないと誓ってもいい。
「じゃあ、あともう一押しで、俺だけのもの決定ですね」
「は……?」
きょとんとする私に、彼は自信たっぷりに言い放った。
「ナオヒコさんって、ホントは別れ話が出てるとか、切れかかってる人なんでしょう。先生、演技がヘタですね」
私のこれまでの不審な態度から、ナオヒコというのは過去の男、あるいは関係がうまくいっていない相手だと推察したらしいが、そういう方面にかけてはさすがに鋭い。
その推察を決定づけたのはやはり、私が入院の電話をしなかったからのようだ。彼が執拗に尚彦への連絡にこだわったのは私の対応を見ようという企みだったとわかると、無性に腹が立ってきた。
「私にカマをかけていたのか」
「またぁ、大袈裟な。入院したなんて一大事だもの、好きな人へは真っ先に知らせるのが普通でしょう?」
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