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パンダと茄子とクリスマス 16

 甘く、とろける感覚に目眩がする。私はいつしか自分から激しく舌を絡めていた。  ようやく唇を離した結城は次に、私の耳朶を軽く噛み、首筋に舌を這わせるようにした。熱い感触に背中までもが反応する。 「あっ……あ……」 「マイッたな、その声。色っぽくて鼻血吹きそうですよ。中も触っていいですか?」  茶目っ気たっぷりに言いながら、ワイシャツの隙間から入り込んだ指が素肌に触れると、私は小さく身震いし、溜め息を漏らした。 「ここ……すっげードキドキしてる。ほら、俺のも触ってみて」  結城は私の手を取ると自分の左胸に押し当て、私たちはお互いの想いを確かめ合うように、相手の心臓の位置に触れた。 「先生が好きだって、俺の全身が訴えているんですよ」  ならば私の全身も訴えているのか。この年下の学生が、結城大が好きだと── 「全身が……わかりますね?」  もちろんだ。彼が次に求めているものが何かくらい、とっくにわかっている。好きだと訴えているのは全身というより、下半身の一部ではないのかとは思うけれど。  二十一といえば男の欲望真っ盛りだ、どちらかといえば淡白な私自身にもおぼえはある。そちらの欲求が身体中を支配し、はけ口を求めて神経を昂ぶらせ、興奮を呼び起こしているに違いない。  もっとも私の場合、本来の男の本能とは違う欲求ではあるので、同列に語っていいものかわからないが。

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