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皮肉な再会 3

 いや、そうは思えない。気にするどころか、次の瞬間に忘れるお気楽男だ。他に考えられる要因──もしや参加費用を気にしているのだろうか。  まさか学生たちに出させるわけにはいかないと、こちらで全額負担するつもりでいたが、とりあえず軍資金をと考えた私は何気なく彼に近づくと、さっと金を手渡した。浮かない顔が驚きの顔に変わる。 「三田くんに返す分と、今朝のバイト代だ」 「バイトって」 「入退院の付き添い代。いいから収めてくれ」  援交みたいだが、この際仕方がない。結城は黙って頷くと、金を財布にしまった。 「全員揃ったところで行きますか。ここから十分もかからないけど、先生、気をつけて歩いてくださいね」  松下と比丘田が先に立って案内を始める。皆、気遣ってゆっくり歩いてくれるのだが、それでも遅れがちになる私の傍をつかず離れず、ジーンズの長い脚が進む。  店に着くまでの間、結城は始終無言だった。いつもならお調子者の本領発揮で、ペラペラと話しかけてくるのに、私の珍しい服装についても、何のコメントもない。  今日はいつもよりもずっと素敵ですね、とか、似合ってますよ、また惚れ直しちゃったな、など、彼らしい歯の浮くセリフを想像していた私は気が抜ける一方で、そんな言葉を期待してどうすると、自分を戒めた。

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