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皮肉な再会 11

 私たちの『旧交を温める図』をしばらく見守っていた尚彦の妻が「お怪我をなさったとか、歩いても大丈夫なんですか?」と訊いた。 「え、ええ。骨にヒビが入ったみたいですが、この杖があれば何とか歩けますから」 「お大事になさってくださいね」 「気をつけろよ。じゃあ、またな」  尚彦たちとの会見は実際のところ十分もかかっていなかっただろうが、私にとっては一時間近くも経ったような気がして、二人が立ち去るとドッと疲れてしまった。  そこへ待ってましたとばかりに、学生たちの矢継ぎ早の質問が飛んだ。 「……同級生だよ。同じ大学で、学部は違ったけどサークル仲間だった。えっ? ああ、自然観察研究部という地味なサークルだよ。私はともかく、どうして彼が入部したのか未だに謎だがね。卒業してからはしばらく疎遠になったり、友情が復活したりと、まあ、腐れ縁といったところだな」  結城に聞かせるために、二人の関係の解説が言い訳がましくなっているのを自覚する。 「若くてカッコいいですね、さすが先生の友達だ。奥さんもキレイな人でしたね」 「どことなく先生に似てたような……なあ、そう思わなかった?」  芝の何気ない言葉に、私はハッとした。  尚彦が結婚相手に選んだ女性が私に似ていたなんて、それは深い意味があっての選択だったのだろうか。

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