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皮肉な再会 15

 それで駅でも宴の最中も彼らしくない、暗い顔をしていたのかと合点がいく。  結城の性格を強引でちゃらんぽらんでマイペースと酷評したが、それらは本人も自覚したように、鈍感に起因しているからで、気にしていないのではなく、気がつかないことが多かったのではないか。  そんな自分の短所を思い知る結果になり、持ち前のお調子者が影を潜めるほどのショック状態に陥ったのだ。 「これまでにも友達とか、つき合った女から勝手なヤツだと言われたことは何度もありましたけど、こんなふうに落ち込んだのは初めてです。メチャメチャ凹んでます」 「たしかに三田くんのお蔭でイライラしたのは認めるよ。さっきもそういう場面をお目にかけてしまったようだしね」  でも、と私は強調した。 「彼の発言に惑わされるのは私自身の責任であって、キミのせいではないよ。おかしなものだね、二十以上も年下の一年生相手にムキになって、我ながら大人げないと反省するけど、どうにもならない」  すると結城はこちらをキッと睨んだ。 「また、そうやって齢の……」 「また、ってどういう意味だい」 「いえ……別に」  プイと横を向く様子にまたしても唖然となる。今夜の彼はいつもと勝手が違いすぎて、どう接していいのかわからなくなった。

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