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女王陛下の騎士 3
「気持ちはありがたいが……」
「いいから遠慮するな。まさかその格好で行くつもりじゃないだろう、待ってるから早く支度してこいよ」
二本目のタバコに火をつけ、あっさりと言ってのける尚彦、こういうキャラに最近出会った気がする──と思ったら、結城ではないか。改めて考えてみると、尚彦と彼は性格が似ていた。私に縁のある男は皆、同じタイプなのだろうか。
ともかく、これ以上拒むのも気が引けるし、せっかくだからと厚意に甘えることに決めた。私たちの新たな友情はここから始まるのだと、大袈裟な理屈を自分に言い聞かせる。
それに、一昨日大金を出費したばかりだ。この先のタクシー代がいかほどになるのか試算するのも怖いほどで、一回でも無料で済むのはありがたい。
リビングに尚彦を残して寝室に入り、着替えをしようとしてハッと気づいた。
あのスーツで講義をすると学生たちに約束したけれど、尚彦の前でそれを着るのはあまりにも抵抗がある。次の機会にしようと、けっきょくいつもの服装になった。
部屋を出ると、車がまばらにしか停まっていない住人用の駐車場を横目に、来客用のスペースへと向かう。
「相変わらず入居者の少ないマンションだな。おまえが前のアパートから引っ越したのが、たしか……」
「五年前だ。当時は新築だった」
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