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女王陛下の騎士 6

 いつもの月曜と変わらない一日が過ぎ、レポートを書き終えた四回生たちが帰るのを見届けた私は実験室側の戸締りを確認していたが、そこへドアを押して入ってきたのは今日ここで初めて会う結城だった。余程急いで来たのか、息遣いが激しい。 「……せ、先生、か、帰り、どうします?」 「どう、って……」  突然の登場と、その発言に困惑する私を見て、彼はいくらか決まり悪そうに続けた。 「バ、バイト先からダッシュで戻ってきたんで、こんな状態ですいません。今朝もタクシー使ったんでしょ、比丘田から聞きました。もっと早く迎えに行けばよかった」  今朝の行動の目的はやはりそうだったのか。じつは尚彦に送ってもらったという心苦しさに、私は思わず目を逸らした。 「私のことなら自分で何とかするから、心配はいらない。慌てて自転車を走らせて、事故でも起こされたら困るからね」 「もしかして、チャリの二人乗りなんて法律違反になるから御免だ、って思ってるとか。それならそうと言ってくれればいいのに……って、俺が自転車でマンションまで行ったこと、知ってたんですか?」  しまった、口を滑らせた。  それでもモノは言いよう、嘘も方便。「タクシーの中から見かけた」とでも切り返せばよかったのに、黙りこくる私に疑惑の視線が注がれる。 「どこでそれを……」

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