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青いポインセチアの花言葉 13

 うっすらと笑い、絡めた指に力を込めると彼も強く握り返してきたが、そんな表情もまた愛おしく思えた。 「最高に愛してるよ」  恥ずかしげもなくそんなセリフを口にする、強引でちゃらんぽらんで、マイペースな自信過剰の年下男。  そんなキミにすっかり惚れ込んだこの私は思いもよらず、不覚を取ったというわけだ。いつのまにかタメ口をきかれて、苦笑いがこみ上げる。  もう一度キスをしたあと、 「ねえ、準一」 「何……って、名前を呼び捨てにするな! 何でキミに準一などと呼ばれ……」 「だって、ナオヒコさんがそう呼んでいたじゃないか。俺はあの人に代わってナンバーワンになったんだから、準一って呼ぶ資格があるだろ」 「資格って、それはだな」 「俺のこともさ、大って呼んでよ。学校じゃ結城でいいから、プライベートでは大。俺も学校では羽鳥先生って呼ぶけど、ここでは準一。ね、いいだろ」  例によって屈託のない笑顔を向ける結城、もとい大、思えばここ数日、彼のこんな笑顔は見られなかったと気持ちがほぐれる。 「わかった。その代わり、公私の区別はきちんとつけること」 「アイアイサー。で、お願いがあるんだ。腹減っちゃった」  そう言えば昨夜から、正確には昨日の昼以降何も食べていない。空腹も忘れてセックスに没頭していたとはお恥ずかしい限りだ。  シャツをはおると、私は簡単な食事の支度に取りかかり、大は床に放置されたままだった携帯電話をテーブルの上に乗せてから席に着いた。

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