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第3話 - ①
水と油
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「いつも授業受けないでお前はどこに行ってんだ?神谷」
「テメェに関係ねーだろーが…」
「いいっんちょーー!これから保健室に行くんですよー。やっと神谷が乗り気になってくれたんで、美味しく頂きます!」
「息するように嘘つんじゃねェェェ」
さも俺が同意した様にも聞こえる、そんな有り得ない事を口にする市はキラキラと目を輝かせている
そして市と同じく厄介な奴が‥‥
「市は本当の事言ってるぞ?ところで、何食べるんだ?俺も腹減って昼飯まで持ちそうにもないんだが」
(ぐっ‥‥こいつッ)
何でも見透かす、そして話しが噛み合わない野郎
乃木 銀次 ― ノギ ギンジ
てんで話しを聞かない上に、自分の思った道を突っ走る
(コイツと話していると、マジ腹立つんだよッ)
2年になって一緒のクラスにコイツがいた
顔がいい上、頭もいい
なにより、誰とでも仲良くなれる性格
勉強、スポーツは何でもこなし、加えて精悍な顔つきにそれに見合った体型
同い年の割に落ち着いた凛とした雰囲気
ただコイツも市と同じく変わっていて
ひとたび口を開けば…
「だが昼前に腹を満たすと、せっかくの弁当に申し訳がたたないな」
「そこは大丈夫ですよ、いいんちょー。いっぱい汗かいて、有酸素運動もしますから!それに神谷は別腹です」
「空腹は最高のスパイスというアレか、なるほど」
人を戸惑いの渦に飲み込ませる事でも有名だった
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