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⑤
「かーみーやーッ」
「神谷ッ」
そんな俺の金縛りを解くように、デカい声を上げながら、走ってくる二つの足音
後ろを見るまでもなく、案の定
「神谷、お前は無謀にも程がある。まずは準備運動をしろ。
ラジオ体操で体をよーく解してからと言われなかったか?それから飛ぶなら紐ぐらい付けろ!」
「神谷ッ、体ッ、体は平気ですか?
まだ僕の勃れてないんですから、無茶だけはやめて下さいよーー」
俺の元に来た乃木には両肩を掴むやいなや前後に揺さ振られ、市はどさくさに紛れて尻揉むは揉む
「~ッて、テメェらベタベタ触るんじゃねー」
「うはっ、サイの友達おもしれー」
「ダチっ?ダチじゃ、兄貴違うから」
この状況に対して必死に弁明をしようとする俺を無視して…
「え、神谷のお兄さん?神谷とはこれから体の付き合いになりますので、今後ともよろしくお願いしますねーー」
「俺は乃木と言います。神谷は俺がしっかりと面倒見ますので、大船でも泥舟でもどんと乗っていて下さいお兄さんッ」
兄貴に要らぬ事を吹き込む2人
痛い目見せてやろうかと2人に詰め寄ろうとした時、突然頭に置かれた暖かい感触に、体が硬直した
「イイ友達持ったなーーサイッ嬉しいぞお兄ちゃんは!よーしよしよしッ」
「あ、あ……兄、ちゃ」
優しく頭を撫でてくれるたびに、ボッボッボッと顔が熱くなる
(あ、兄貴の手がッ、すっげぇ嬉しいッ)
そんな顔を晒したくなく、口許を手で覆うが、その手さえも熱く、心臓にいたっては兄貴にも聞こえてしまうんじゃと思えるぐらい
「これは‥」
「ヤバいですねー」
目の前で呟く乃木と市を殴りたい
赤面した俺を馬鹿にしているんだろう
嫌がりもせず頭を撫でられ続ける醜態を楽しんでいるんだろう
物珍しいものを見るその目が物語っている
そして終いには兄貴と手を繋いで帰る俺の姿が全校生に晒される事になった
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