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⑥
兄貴が学校にやって来て噂が流れ広まったのはあっという間だった
『あの不良 神谷 采はブラコン』
そのせいで前ほどあからさまにビビられる事は無くなったが、それよりももっと厄介なのが…
「おはよう神谷。待ってたぞ、さぁ一緒に教室へ行くぞ」
「乃木ッ」
物音もせず後ろから突然発せられた声に、体が跳ねる
朝から男前な微笑みを張り付かせた顔が近くにあり、腕を取られた事に気を取られていると…
「ーーッ」
「ほーーんと朝からこのお尻が魅力的過ぎです罪です罪です」
「市ッ」
セクハラ大王に尻をまさぐられる始末
前よりも増して四六時中構ってくる2人に腹が立って仕方がない
「テメェら、俺に近寄るんじゃねぇェェェェ」
「無理ですよ、あんな顔を見させられて我慢なんて僕は出来ませんから」
「まったくだ‥‥目を離せられないと言っているんだ。俺の側に常にいろッ」
「は?」
俺に話しをしてる割には、まったく話が通じない
「ドロッドロに甘やかして神谷からおねだりするまで調教して、僕にもあの顔してもらいますからね」
「居なくなるたび俺の心臓が持たん。俺の視界から消えるな、分かったなッ」
「へ?」
ニコニコと笑顔の市と、真剣な眼差しを向ける乃木がパニックぎみの俺を見据える
「神谷」
「覚悟して下さいねーー」
「だ、だから何の話ししてやがるゴラァァァ」
一体何の覚悟か
予鈴のチャイムをかき消すばかりの俺の悲痛な叫びが廊下に響き渡った
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