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④
「て、テメェ離せ!!」
「ハハハッ、離せば逃げるだろ?」
「当たり前だろーがオラァァァァァ」
「無駄だ」
もう片方の捕らえられていない手を拳にし、顔面目掛け殴り掛かる、が‥‥
「なッこのヤローーぐぁッ」
足を払われバランスが崩れる
(ヤベッ倒れるっ)
思わず殴りかかっていた拳は乃木の学ランを掴んでいた
「神谷引っ張るな!っく!」
「うぁッ」
乃木が踏ん張ろうとしていたが、体勢が不安定になったのもあり、男2人の体重は重力に抗えず
乃木もろとも床になだれ込む
床に打ちつけた背中に痛みと、胸には乃木が覆い被さりのしかかる体重で圧迫され息が詰まった
「痛ッ、退けろ乃木テメェ重いんだよ」
「なに!?俺はそんなに太ってないぞッ
それにこうなったのは、お前が道連れにしたせいだ」
「なッ、人のせいにしやがって退け!」
乃木が上から覆いかぶさる形になって
下にいる俺の負担、負荷が半端ない
乃木の両肘で顔を囲われ、すぐ横には顔があり、他人とこんなに体をひっついている事に対して、鼓動が速くなる
退かそうと下から押しやる俺に対して乃木は
「うーーん、何でだろうな神谷?そう急かされると、反発したくなる気持ちは?」
すぐ動かないうえに、耳元で深いため息をつく始末
その生暖かい吐息が耳を掠めて行き
(あ‥‥マズい)
そう思った時には遅かった
ビクンッ
と、体が勝手に反応を始める
「!!!ど、退けッ」
「待て神谷、暴れんな」
(ヤバい、これはヤベぇ‥)
「‥‥早、く‥退け‥」
「ん?‥‥神谷」
「‥‥ッ、しゃべる、な」
俺の顔を覗き込もうとした乃木が、顔の横に手をついたその指先が
耳に触れ
「くぅッ‥あ…」
もう駄目だった
力が抜ける
上げたくもない声が口から出て、ビクビクと甘い痺れが全身に襲い
「おい神谷‥‥お前何で勃ってるんだ?」
「!!!!」
1番知られてはいけない乃木に
俺は最悪の体勢で
醜態を晒してしまっていた
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