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「神谷、気持ちいいのか?」 「ち、‥違ェ‥ッ‥‥」 とは言ったがかなりヤバい すでに弱点と知られて今、乃木は遠慮なく耳を執拗に弄り始める その優しい撫で方に、体に微粒の電気が走り、否応なしに体のびくつきが止まらない 「て、テメェ‥ぁ‥いい加減‥に」 必死こいて我慢する俺に‥ 「なぁ‥‥神谷?」 「ッ‥んだよ!‥っく」 乃木の落ち着いた声が上から聞こえた そして‥ 「お前の好きな奴は‥‥やっぱり兄貴なんだな」 言葉で心臓を鷲掴みされた様な気がした 真上にある乃木を こんな醜態をさらして見れなかった乃木の顔を見れば 何でも見通す目が、俺だけを映し出す その瞬間 ゾクリッと心臓が騒ぎ立て、逃げ出したい衝動が起こった 暴かれる 曝される コイツには、俺が今まで奥底にしまい込んだモノ全部が バレてしまう 「ッ!ち、違ェェェェテメェーそれ以上ほざくなら兄貴は関係ねぇ!」 そうだ! 兄貴は関係ねぇ‥‥ コイツなんかに兄貴との事を‥‥ とやかく言ってもらいたくねぇ! なのに‥ 「違うな」 「は?」 「本当は兄弟としてでなく、お前は兄貴を想ってるんだろ?」 コイツはどんどん人の中に入って来る 側から見れば異常だって事は自分でも分かってはいる 好奇心からか分からないが、この遠慮の無い質問にブチ切れ… 「ーーッな訳ねェェェェ!!本当の事? 誰が‥‥‥ 誰が、テメェなんかに言うかゴラァァ!」 俺の叫び声が部屋一面に響き渡った 「‥‥‥‥」 しばらくしても反応を見せない乃木に疑問を持つ とにかくこの体勢から逃れようと、思った矢先 ガシッと両肩を掴まれた 「お、おい乃木?何す‥」 「そうか!神谷は‥‥‥‥照れ屋なんだな」 「は、はぁあああああ!?」 「ハハハッ、照れるな照れるな!お前やっぱり可愛いな」 何でそうなる! 何でコイツは、都合のいいほうばっかに捉えるんだ? 乃木の行動がぶっ飛び過ぎていて、ついて行けない だけど‥‥ 「神谷、お前を見てると触りたくて仕方ない」 俺の予想すらも軽く超えてきやがった

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