47 / 66

「兄貴は‥」 何でコイツなんかに… 「‥‥兄貴は‥‥好きな奴いんだよ!! あんなメガネ野郎でも‥‥俺は、弟としか映ってねェ、ッ悪ィかああ、そうだよ! 俺は兄貴が‥‥好きで、ずっと好きで、早く諦めねぇといけねぇぐらい、てめぇ自身でも分かってやがるんだ!こんな想いは‥」 もっていちゃいけねぇ‥‥ 実の兄弟で、男同士で、ヤバいって事ぐらい最初っから‥‥ 誰にも言わずにいた本音を 何で俺はコイツなんかに… 「‥‥ッ、く‥そぉ‥っ」 「神谷、泣いてるのか?」 「泣いてなんか、ねぇ‥‥」 そうは言っても、止まる事なく目からは 涙が零れていた 人前で泣くなんて事はいつぶりだ そもそも泣く事すら数える程度しかなかったから もう止め方なんてモノは忘却の彼方 「そうか‥‥辛かったな、神谷」 「~~つッ」 「ずっと頑張ってたんだな」 暖かい手の平がクシャと、俺の前髪をかき上げる そしてその先にあるのは 優しく微笑む男前の面 その目が、俺を見る乃木の目が‥‥ (兄貴と‥同じ、だ) 「~~く、」 周りの奴らが俺をどう見てようが、兄貴だけは俺を信じて、守ってくれてた 女嫌いになったあの時も、兄貴は 『サイがそんな事する訳ねーよ!』 大人達が俺を責めていても、庇ってくれた その兄貴とおんなじ目をしやがって 優しい言葉なんか掛けるな 抵抗する気が‥‥ 起きねぇだろーが‥ 乃木の野郎に抱きしめられているのに 暖かくて、落ち着くなんてこんな馬鹿な話し、有り得ない 「うるせぇ‥‥俺、俺は‥‥ッ、つ、」 「我慢するな、付き合ってやる」 「何で、テメェなんかに‥‥クソ‥‥‥ぎ‥乃木‥乃木!」 兄貴を好きになった事に後悔なんてモノはない でも、ずっと溜めてた事を 誰かに言えた安心感 聞いて、それを受け止めて貰えた安堵感 コイツは馬鹿にも軽蔑もしないで俺を‥‥ 見てくれた (乃木‥‥) 思わず手が動いていた

ともだちにシェアしよう!