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④
その時‥‥‥
『神谷は兄貴の事が好きなんだな…兄弟でなく』
乃木の言葉が頭の中で響き、ビクッと体が跳ねた
(お、ぉぉ、俺は何しようとした!?)
自分の行動に目を剥く
乃木には必死に違うと言っておいて、この体たらく
心臓が破裂しそうなぐらい騒いでいて、汗が噴き出す
「ぐわぁあああ、俺は、俺はッ」
「ん〜?‥‥あ、れ?サイ?」
デッカイ目をパチクリと開いた兄貴と目がガチで合う
そりゃそうだ
こんなに近くで叫ばれたら、起きない奴はいないだろう
「~~~ッあ、あ、あああ兄貴、いや、これは、違ぇんだその~」
「ん?あれ、タオルケット…サイが掛けてくれたのか?」
「た?タオルケット…あ、ああッそう!」
「くぅ〜やっぱりサイはいい子だなぁ、自慢の弟だ!」
屈託なく笑顔でそう言う兄貴を見て
ズキッと胸が痛んだ
(うん…そう、俺は自慢の弟…)
兄貴が望む良き弟でいたいのは本心
その兄貴の笑顔のために‥‥
いつかこの想いも諦められるはずだ
一呼吸して限りなく平常心を保つ事に専念して、普段通り弟の顔に戻す
「あ、兄貴も風呂入って寝ろよ」
「お〜分かったぁ!あれ、サイ湯冷めしてねぇ?一緒に入る?」
「え゙、え゙ぇ゙えー!!?」
そんな事を無邪気に言う兄貴の下では
もうしばらくは無理なのかもしれない
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