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④
子供でも引っかからないような事を、真剣に引っ掛かって
グァァァッと一気に熱くなった顔
そんな顔を乃木の奴に見られたら、また何言われるか、そう思い視線を横に向けた時
(ん?あれ、は‥‥)
俺達がいる歩道の向かい側
デカい道路を挟んで楽しそうに連れと一緒に歩く人物
「あ!兄‥」
「神谷、家に行く前に店にー…
おい、神谷!どこを見てるんだ俺を見ろ!」
「な!」
声を出して呼ぼうとした矢先に、顎に感じたのは指先の感触
と、同時に
グイッと強い力で乃木の顔を真っ正面に捉えるまで俺の顔は無理矢理、方向転換させられていた
「な、なな、なに、何しやがる!!」
「まったく‥‥俺はお前だけを見てるのになんで分からない」
「は、はぁああ!?ちょっ、テメェ何言っ‥‥え゙!?いや、そ、それって‥‥」
寂しそうな表情でジッと見てくる乃木に、心臓が騒ぎだす
俺だけを見ろっつー事は、他の奴を見ていた俺に対して
コイツは嫉妬したのか?
そう思った途端に
「~~~~~ッ!!!」
また心臓が痛いほど早くなる
「な、何でテメェは恥ずかしくもなく‥‥
そう言った事を言いやがる!」
「何で?‥だと。当たり前じゃないか!
神谷は違うのか?」
真剣な眼差しで俺を見る乃木を見てると
吸い込まれそうな感覚に陥ってしまう
心臓はいまだにバクバクうるせぇし
ほてった顔に、耳がジンジン熱を持ってんのも分かる
何でこんな野郎に一喜一憂しないといけないのか。
自分自身の制御が出来きなくなってしまう
「お、俺はて、テメェ‥の事は‥まだ、その」
「小さい頃から言われてただろう?
『話す時は、きちんと相手の目を見て話せ!』
とな」
「自分でも分から‥‥‥‥‥‥ん?え?」
「ハハハッ、その顔は知らなかったのか。
意外と神谷は常識がなってないな!」
『勘違い』の文字が頭に浮かび、先程の比じゃないぐらい顔が熱くなった
「乃木テメェマジ死ねやァァァァ」
「ハハハッ照れるな、照れるな!そんな神谷も可愛いぞ」
「ッ、喧嘩上等じゃねーかゴラァァァァ」
往来の場所でなにやってんだと自分でも呆れてしまう
ましてや、兄貴を見掛けてるのに
兄貴んとこに飛んで行かないなんて初めてで
しかも反対にその事が、頭ん中からスッポリ抜けるなんて‥
今までの俺には有り得ない事なのに。
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