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それからギャーギャー騒ぎながら着いた乃木の家で、俺が来ることを待っていたかのようにお出迎えしてくれた茶太郎を見た瞬間 「茶太郎〜ッ、元気だったか?」 一気に癒された のどを撫でてやるとニャーと可愛い鳴き声で俺の指に擦り寄って来る 綺麗な毛並みで、猫の割りに人懐っこくて、すぐさま安心し切った時のお腹を見せるポーズで触らせてくれるもんだから、顔を埋めたくなってしまう 「ハハハッ、茶太郎は『会えて嬉しい』と言ってるぞ」 「だから、お前の翻訳はいらねぇんだよゴラァアアアッ」 俺がデカい声出して乃木に吠えていても、あぐらの膝にちょこんと乗って俺に甘える茶太郎を見ると (マジ来て良かったー!) 嫌な想いが全部吹っ飛んだ と、そんな時 膝の上の茶太郎がズボンのポケットに顔をスリスリ擦り付けている (あ、忘れてた) 「おい、乃木!」 「ん?」 俺の呼び掛けで男前の面がこっちを向く ここに来る前に寄った店で買った物 ポケットに入れていた小さい紙袋を投げつければ パシッー‥ と、心地の良いキャッチ音 受け取った乃木は、何だこれ?そんな顔を見せて、紙袋を凝視している 「神谷?」 「それやる」 「神谷?」 「チッ!何度も言わすんじゃねェエエッ! だから、やるって言ってんー‥」 あ‥ なんかヤベェ‥ 疑問符が頭に浮かんでたろうと思われる乃木の顔が、見る見るうちに笑顔になっていく (マズいんじゃねーかこれ!) 「乃木待てッ!テメェなんか誤解しっ、ぐわぁっ」 「神谷ーッそれはツンデレっというやつか? ちなみに、俺はデレだけでもかまわんぞ!」 「な、なに言って、つーかテメェ離せッ離しやがれェエエ」 身構える事も出来ず 膝の上に座る茶太郎もいた事で避ける間もなく満面の笑みの乃木に 真正面から抱きつかれていた

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