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コールドケース ♾ 須上健登 2

乗り込んだリムジンには3人のSSと岳人、 健登の5人だった。 豪奢な内装にワインセラーまである。 その中の1本をSSの一人が取り出し、 細いフルートグラスに注いでこちらに差し出してきた。 もちろん、最初に受けとったのは岳人だ。 そのまま健登にも差し出され、気泡の弾ける グラスの中身は、どうやらロゼのシャンパンのようだ。 「……仕事に来たんだが?」 「堅いこと言わずに飲みながら話そうよ」 安物のスーツに身を包んだ自分と比べ、 岳人は三つ揃えの高級スーツを綺麗に 着こなしている。 しかも絶対あればオートクチュールだ!! 自分の貧弱な身体と違い、服の上からでも わかる。SSなんてつけなくても、 多少のことからは自分の身は守れるレベルの 筋肉を身にまとっている。 それに比べて自分はヒョロっとして弱々しい。 日本人としてのスタイルは悪くないはずだが、 こうやって他のSSもそうだが、元々の 筋肉がつきやすい人種と違い、鍛えられた 人間が周りにいると、貧弱に見えて情けなくなってくる。 「再会を祝して乾杯でもしようじゃないか?」 フルートグラスを向けられ、不本意ながら 相手は取引先であり、スポンサーのSEOだ。 軽くグラスを合わせ『Saluti』乾杯を意味する イタリア語とオレは日本語で乾杯、と告げる。 飲み心地のいいシャンパンで、とても飲みやすい。 「……美味しい……」 「口にあったようでよかったよ」 軽く1杯のグラスを空けてしまう。 SSがまた注ぎ足してくれる。頭を下げて礼をする。 「随分と律儀だね。ところで……」 と言葉を切ったところで前髪を掻き分けられる 「その髪型と伊達メガネは何の為に?会社では 随分と地味に過ごしてるそうじゃないか。」 既に調査済みということか…… 「……目立ちたくなかっただけだよ。 裏の仕事で足が着く訳には行かないからね…… これでも良心の呵責はある方なんだ…… 被害者家族に詰められたら死にたくなる……」 「そうだね。僕の後にも続けてたみたいだね。 ――なんであんな仕事をしてたの?」 「……金が必要だったんだよ。あの時は。 それからはズルズルと抜けられなくなって……足を洗いたいとは思っているけどな。 言ったら消されそうな気がしてるよ」 軽口でそう答えた。でなければ話が重たくなりかねない 「……消されない方法がある、と言ったら 誘いに乗ってくれる?条件はあるけど、 その返答次第では、僕が手を回してあげる。」 「人殺し以外なら。悪事は大概してきたからな……それが、俺を呼び出した理由か? オレはイタリア語も話せなければ、 他国で犯罪をする気もないんだが?」 一刻も早く日本に帰りたい一心で、そう答えた。 サルヴィオはニヤリと嗤いながら 「なに、大したことじゃないさ。 ケントにしてもらう仕事はとても簡単な事だ」 そう言いながらシャンパンをあおった。 「ジュースみたいなシャンパンだな…… 子供の頃、口にしてた日本のグレープジュースみたいだ。飲み口もアルコールもそれほど強くないスペイン産のシャンパンだけど、ケントも とりあえずの再会を祝して祝杯といこう!! だから遠慮なく飲んで?」 ケントにも同じペースで飲むように勧めてきた

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