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コールドケース ♾ 須上健登 3
急に襲ってきた目眩のようなもの……
これは酔いだ。飲み口が良かったのもあり、
飲みすぎてしまった、と後悔したが、
どうやら倒れてしまったようだ。
柔らかいシートに横になっていると
フワフワとした感覚になってくる。
このまま眠れたら楽なのに……
いやいや、今、ここで隙をみせては
いけないんじゃないか?
けれど無常にも、サルヴィオこと岳人は、
さらに口移しで酒を喉に流し込む。
少しの違和感はあったが……
それが何かもわからないほど酔っている。
車の振動が心地いい。
完全に足を伸ばせるような
広いシートはまるでベッドのようだった。
そんな思いを虚しく、躰の中心に熱が集まり、
躰が熱い…… 心做 しか息も上がっていく……
ーーなんでこんな時に勃起してるんだ……?
うっすらと見える……毛?
しかも、押し上げるはずの布地がない……?
伸ばしているはずの脚は大きく開かれ片方は岳人の肩の上、片方は腿を押し上げられている。
その勃起も暖かいもので包まれている。
まさか、イッたばかりなのか?
ジュルジュルと聞き覚えのある音も聞こえてくるし、甘い痺れが背筋に流れていく。
まるで舐められているような悦楽を
愉 んでるようだ。
その場所に目を向けるとサルヴィオが自分を
咥えこんでる姿に唖然とする。
その頭が上下しているのだ。
少し長めの髪が、腹を擽るように揺れている。
働かない頭でも何をされてるのかは
理解出来る。
――しかも上手い……
油断すると声も精液も出してしまいそうだ。
普段何も無い時には触らない場所に指が
蠢 いているような……
ヌルヌルしたものが後孔に塗られている感じとその指が浅く入ったり、出たりしている。
どういう訳か躰が全く動かない。
――酔ってるだけじゃない?
本来は排泄をする器官は異物を押し出そうと
扇動するが、その指は全てを知ってるかの
ように図々しくも侵入してくる。
そして健登の最も感じる場所を的確に
攻め立てる。
「……あ……ン……な……なに……?」
そこをトントンと軽く押されただけなのに、
背筋に電流のような、脳髄まで痺れるような
快感が駆け抜ける
「……ここが、ケントのイイトコロだよ。
ケントはそのまま受け止めていてくれるだけでいいからね?」
手馴れた感じが少し嫌だった。
一回りも年下の……自分が初めて誘拐した
相手にだ。
「……んぁっ……んっ、 随分、手馴れてる……んだな……おまえは……男が好きなのか……?……あぁんッ……!!」
どうにか開けた口唇は皮肉を込めて言い放つ。
が、その途端に弱点とも言える場所を強く
引っかかれ、高い声を上げて喘いでしまう。
サルヴィオはSっ気たっぷりの男のようだ。
さらに笑顔を向けて笑う。
「あはは〜、ケントは面白いことを言うね。
そんなわけないでしょ?
訂正して欲しいなぁ〜。
僕はちゃんと女を抱ける『男』だよ?
僕は別に女に不自由もしてないし、
ケントのために、たくさん経験も
積んだんだよ?
僕は『男』が好きなわけじゃないし、
ケントだけを特別好きなだけだよ?
だからケントも気をつけてね?
ケントに手を出すような輩 が男だろうが女だろうが現れたら、そいつを遠慮なくを殺すから。ケントは僕だけのモノだからね?
そりゃ、ケントに気持ち良くなってもらう為に部下を使って『ここ』を試したことはあるけど試したのはここまでだよ?
ペニスもケントのなら抵抗はないね。
オスの匂いが堪らなく良いよ?
ケント限定でね?
この先はしてないし、ゴム無しで
指をツッコめるのもケントだけ。
他の男なんて気持ち悪くて無理。
でも、ケントとはセックスしたい……
わかってる?なんの為に僕がケントを
イタリアに呼んだと思ってんの?」
――この男の目的はなんだ……?
熱に浮かされたよう感覚と、快感を拾う躰は
その愉悦を貪っている
けれど全くもって岳人の感情が見えてこない。笑ってても眸は笑っていない。
口調は軽いのに、妙な威圧感がある。
海外事業部が遣りづらいというのも
わかる気がした。
食えない顔をしながらも、こちらを食おうと
しているのだ。誘拐したことに対しては、
復讐はない、と口では言っていたが、
それが本音かどうかもわかったものではない。
取引はしたがその後の子供達がどうなったのか
そこまでは関知していなかったのも事実だ。
「……なにが……目的だ?」
聞くと耳朶に囁いてくる。
「だからずっとケントとセックスしたいだけ。
生涯かけて大切にするよ?」
「……遠慮する。俺にその趣味はない。」
かろうじて動く手で、頬を叩くように
振り上げるが、軽く捕まれ、危ないなぁ、
と、軽い笑顔で笑う。逆に頬を強く叩かれた。
その手に迷いはなく当たり前のように……だ。
上半身を脱がされながらも暴れようとすると、
SS達に押さえつけられ、
簡単に全裸にされてしまう。
しかも脚を閉じようにも、人のケツに
指をツッコんだままの真ん中に岳人がいる。
「安心して?このローションにも
媚薬が入ってるんだ。すぐにケントも
僕を欲しくてたまらなくなるよ?」
酔ってる上に媚薬だと?最悪じゃないか。
…………にも?まさかシャンパンにも……?
「……おまえもハイペースで飲んでたよな?
勃つのか?それともシャンパンにも媚薬を
仕込んでたのか?」
「ハイペース?あぁ、シャンパン?
あんなジュースみたいな酒に
僕が簡単に酔うわけないでしょ〜?
僕はね、血筋なのかなぁ……?
元々ね、僕は酒にはかなり強いんだよ?
シャンパンには何も入れてないけど、
潰れた後に、依存性のない媚薬は
飲んでもらったけどね。
それにね、あんなのは酒を飲んだうちに
入らないよ。別に酔っても勃つけど?
酔ってないけど、なんなら見る?」
スラックスの前を寛げ、その猛ったモノを
取り出し、口に押し当ててきた。
「ほら、舐めろよ。噛んだりしたら、
酷くするからね?」
まだ、肩を押さえつけているSSもいる。
見下ろす眸が冷たい。
ゾッとするような冷ややかな目線だが
口元は緩んでいる。
他人を生かすも殺すも簡単に出来る眸……
冗談では無いのだろう……
オズオズと口を開き、その大きく猛ったモノを口に含むが、大きすぎて入らない。
先走りのオスの味が口の中に広がる。
あまり気持ち良いものではない。
先端を舌で擽り、裏筋を舐めるのが精一杯だ。
「ヘタクソ。女の方がよっぽど上手く
舐めるよ?」
――そりゃそうだ。男のモノなんて
舐めたことがない。
ペニスはそのまま遠ざかる。が、グリッと
前立腺を強く擦られ背が仰け反る。
「……あぁ、、ん……」
「初めてとは思えないくらい悦さそうな
顔して……仕方ないから、今日は
ローションをたくさん使ってあげるね」
指とローションを増やされて、グチャグチャと
音を立て、女との前戯のように激しく指を
抜き差しされる。
「フェラはね、これが欲しくて堪らない、
って気持ちでするもんなんだよ?」
指を動かしたまま、ペニスを咥え、上下に頭を動かしながら舌も使って舐め回される。
目の前がチカチカするような悦楽が背筋を
駆け上がっていく。
すぐにでもイッてしまいそうだ。
「か……はっ……あぁ、あん、あっ、あっ、あぁぁ……」
「ふぅん、いい声出るじゃん。」
腰の奥が疼いて、そこに届かない指に
焦れていた。
これが媚薬の効果なのだろうか?
ケントのペニスから離れると、サルヴィオは
見せつけるように自分にローションを垂らし
クチクチと音を立てながらそのかさを増す。
血管が脈打ち、浮き上がっていて、
高く天を向いて反り返っている。若さだ……
そんなデカいの、入るわけない……
ケツの穴が裂ける……
が、岳人……サルヴィオはケントの根元を指で
締め付けながらゆっくりと指を引き抜いて
開きっぱなしの孔に自身を押し付け、
ゆっくりと挿入してくる。
「……ところてんもいいけど、せっかくの
再会の日にすぐイッちゃうのは
つまんないな〜。今日は徹底的に
焦らしたいけど、やっぱり無理。
だけどバックバージンはじっくり味合わさせて
もらうよ?素人童貞なのにごめんね?」
ーーーそんなことまで知られているのか……
「……あ……あぁぁぁぁ……」
…………苦しい…………
メリメリと音がしそうなほどの強引な挿入だ。
熱くて硬いものが内臓を押し上げるように
侵入してくる。苦しいほどの圧迫感に、
ただ、ただ、耐えるしかなかった
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