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クリミナルアクト ♾ サルヴィオ 7

怒りの色を滲ませて、片野が乗り込んできたのは、電話で話してから、まる1ヶ月が過ぎた頃だった。その間の準備は整った。 綺麗に似合うようにカットした髪の毛は少し明るい色に染めている。無の表情で立つ彼には、着てきたスーツは処分し、彼のスマートな体型に合った仕立てたスーツを着せて、秘書の中に混じって招き入れた応接室の後ろにたっている。それに気づくだろうか……?他の秘書と比べると女性秘書とそんなに背丈は変わらない。 握手を交し、挨拶を終えて着席を促す。 女性秘書が飲み物を持ってくる。置くと、秘書の中に交わり、そのまま立っている。 『ミスター・ジョルダーノ、条件についてですが、1つ……須上が退職願を郵送してきたことにあなたは噛んでいらっしゃるのですか?』 ニッコリと微笑むが、その眸は笑っていない。 『いきなり直球ですね。ケントは自分の意思でイタリアに残ると決めたのですよ?』 『本人に確認させていただけないでしょうか?突然、出向中に退職なんて……』 『ケント、こっちへ』 イタリア語ではなく、英語で話しかけられ、秘書の中から、若い男が現れる。若いと言っても、目の前のサルヴィオよりは歳が上に見えるが、それほどの年齢差はなさそうにも見える。 目に見えて妖艶な色気を放つその姿に片野も同席した時田も固唾を飲むほどだ。 片野はその顔に何となく見覚えがあるものの、誰だか思い出せない。明るい髪の色に覚えはなく、人物に似合った髪型は爽やかさと妖艶さを増幅させている。細い体のラインに仕立ての良いスーツがとても似合っていて、サルヴィオのような三つ揃えのスーツが似合う体型ではないものの、シングルのスーツがよく似合う。 髪型や顔立ち然りだ。アジア系の顔つきだが、サルヴィオに負けず劣らずの整った顔立ちの男だった。その男はサルヴィオの横まで来ると、 片膝をつきサルヴィオの言葉を耳元で受ける。頷いた男は立ち上がり、片野の方を向き 「……お久しぶりです。片野さん。この度は失礼な形での退職をしてしまい、申し訳ございませんでした。」 頭を下げる男のその声は間違いなく『須上健登』の声だった。時田は須上とは面識はないものの、噂の男が目の前にいる、と驚いた様子でそれを見ている。 「……須上さん?えらく雰囲気が変わりましたね……どうして、こちらの会社に……?」 喫煙所で髪をかきあげた時に現れた顔は確かにいい男で、この顔にメガネをかけた顔だった。けれど、顔を隠すような長い髪とメガネがないだけでこれほどまでに変われるだろうか? 須上は33歳のはずだが、目の前の男は20代半ばくらいにしか見えない。 「……僕はサルヴィオと共に生きていきたいと思ったからです。彼は15年前の僕の罪です。」 そう言って伏せ目がちに俯く。 「……罪……とは……?」 「私の素性(プライベート)にも関わることだから、それ以上は聞かないでおいてもらおうかな?」 急に流暢な日本語で声を出したサルヴィオに 「前回の電話でも思ったのですが、なんで、そんなに日本語が流暢なのですか?」 「私が1言語しか話せないとでも?英語もフランス語もスペイン語もドイツ語、中国語、韓国語、ロシア語、ウクライナ語、リトアニア語、チェコ語、ルーマニア語、あとはどこだったかな……大体の言葉は通訳出来るよ?ただ、イタリア語が一番話しやすいけどね。それに御社にはこの須上健登は英語が堪能だと知ってる社員はどれくらいいるのかな?」 「……15年前に何があったんですか?」 「15年前、私は日本にいました。そこで彼と出会った……それだけですよ」 健登はまだ、伏せ目がちに俯いたままだった。 「……須上さん……貴方は……」 「……すみません……それ以上はお話できません。CEOの許可がない限りは……」 「人の口に戸はたてられないと言うでしょ?あなた方にお話をして、根も葉もないことになるのは、こちらとしても不本意なのですよ。ケント、こっちへ……」 サルヴィオは立ち上がって、彼を腕の中に収めると、濃厚なキスをする。最初は肩を軽く叩くような抵抗をしていたが、だんだんと力が抜けていき、サルヴィオの手が腰に回ると、それを支えに辛うじて立ってるような状態になる。 口唇が離れると、ガクッと何も写してないような虚ろな眸が天を向く。その表情が酷く妖艶で扇情的に見えた。

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