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クリミナルアクト ♾ サルヴィオ 13

部屋に戻るとケントが起きていて、俯いて酷く憔悴しているように見えた。 「……ケント?どうしたの?」 手を伸ばしてもその手を受け付けない、というように振り払われた。あんなことの後、ということもあり腹立たしかった僕は、そのまま押し倒してケントの眸を見ようとするが、その目線さえ逸らされる。 「どうしたの?ことと次第によっては『お仕置』が必要になるけど?」 ケントの眸が不安げに揺れる。 ――何をそんなに怯えているんだ? 「……ほかの女を抱いてきた手で……オレに触るな……」 ケントから思いもよらない言葉がとび出た途端に僕は声を上げて笑ってしまった。 「あはははっっ……ごめん、あまりにも突拍子も無い言葉に、面食らっただけだよ。むしゃくしゃしてたから、酷いことを言ってごめんね?僕はケント以外を抱く気はないよ?たとえそれが接待だとしても、僕でない代理を立てる。それは約束をするから、僕をちゃんと信じて?」 「…………今だっていなかった……」 寝ぼけているのだろうか……?子供のような発言を繰り返すケントをあやすように抱きしめて背中を撫でる。30年以上も住み慣れた土地から無理やり離されて、実質は軟禁状態にされているのだから、不安が爆発したのだろう。 もしかしたら、たまに寝かしつけた後の仕事をしてる間に、何度も目覚めていたのかもしれない。そういった日はセックスをしない。一方的に喘がせて疲れさせて眠りに(いざな)っていたのだから、他で発散されてると疑われて、そこに僕が居ないとなれば、どんな言葉もケントにとっては言い訳にしか聞こえないだろう。 眠剤を盛るべきか、実態を見せるべきか、は迷うところだが、少し落ち着かせなければならないだろう。だからあんなことで呼び出されるのは嫌だったんだ、と僕は痛感する。 「心配かけてごめんね?うちの仕事は24時間営業なんだよ。急なトラブルが発生すれば僕も会社に戻らなくてはならないんだ。ただ、昼間の仕事と違って、夜の業務はケントには見せたくない……って言うのが本音かな。ただ、ケントが望むなら、次は同行してもいいよ?その代わり、僕を絶対に嫌いにならないでね?」 押し倒したまま横を向いていたケントの顔をこちらに向けてキスをする。深く、ケントが腰砕けになるまでのキスだ。最初は抵抗していたので、着ていたバスローブが肌蹴(はだけ)て、胸の尖りがぷっくりと勃ちあがり期待に満ちたように誘っているように見える。イライラをぶつけるのは良くないと思いつつも、このままの勢いで抱き潰してしまいたかった。 噛み付くような愛撫を繰り返し、ケントがたまに『痛い』というのもお構い無しに、躰中を貪ってから、優しくペニスを舐め上げながら、後孔に指を入れて解す。既に一度解しているそこは簡単に指を飲み込み期待に内壁が(うね)っている。握ったいたローションが人肌まで温まると、それを自分のモノを目の前て扱くように見せつけて塗りつけて強度を増す。 「僕が誰の相手もしてない証拠を見る?それとも飲む?……挿入()れる?」 「……挿入れて……早く……欲し……ぃ……」 僕はクスッと笑い 「……仰せのままに」 「あぁ、あぁぁぁ……ハァン……イィ……」 待ち侘びた、と言わんばかりに僕を迎え入れるケントが可愛すぎて、焦らすようにゆっくりと挿入する。焦れて腰が揺れる。 ケントは本当に僕好みに染まってきている。 僕は一生、この軟禁生活を楽しむつもりだ。 ケントには消えない罪がある。それを背負っている限り、僕が弱みを握ってるのも同然だ。 ただ、その罪を自らが告発しない限りは。 けれど、ケントが捕まればその手引きをしていたジャパニーズマフィアもタダでは済まない。警察内部に入り込んでいる輩に抹殺されてしまうだろう。悪があるから正義が成り立つ仕組みを警察の上層部のエリートも理解してるのだ。 殺された事実を隠し、報道では自殺と告げる。テレビや新聞に書かれている『報道の自由』がどこまで自由なのかを知る人間は少なくはないはずなのに、小さなネット情報に右往左往するのが、特に平和ボケしてる日本人の特徴でもある。常に報道規制が張られて、偽の情報を、握らされてるジャーナリストがどれだけいるのかを知らない平和な国だ。 飢餓や他人から奪われる命の危機に怯えることのない。事件や事故はもちろんある。けれど、常に隣り合わせにある訳では無い。 僕や僕の弱みであるケントの命は常に晒されている状態だが、一緒に逝けるなら本望だ。だから僕の本能はケントを求める。命の危険が迫ってれば迫ってるほど男は子孫を残すために性欲が高まる。自分の腕の中で乱れるこの男を求めて止まないのだ。

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