夕方に受け取った報告書の内容を思い出していた。うちの構成員でもヘマをしてボッケリーニの組織のものに殺されたヤツがいる。 よりにもよって、ボッケリーニの実の息子であるアンダーボスの命を奪ってしまったのだ。せっかく忍ばせて、アンダーボスの側近にまでなってたいたのに、馬鹿なヤツだ。アンダーボスが死んでから結構な年月が経つが、何故、今になってバレたのだろう？ アイツは組織の中では上手く立ち回っていて、疑われてるような話もなかったのに、突然の事だった。アンダーボスだった男の実弟はアルノルド･シュレイカーのはずだが、海外公演中のはずだ。ほかの密偵から聞いた話だと、ヤツが殺されたのはアルノルドの指示だという。 ――アルノルドは何を掴んでいたんだ？ 捨てられた遺体は今、警察にある。弔ってやりたいが、遺体を引き取る訳にはいかない。形式だけの弔いをしてやることが精一杯だ。 「……難しい表情(かお)してどうしたの？」 「……起きてたのか。まだ、抱き足りない？」 ケントは真っ赤な顔をして小さな声で 「……そういう訳じゃないけど、こうやって近くで温もりを感じてることだけだっていいことだってある……」 ケントは寝惚けている時は子供みたいになることがある。ベッドの中では甘えたがりの寂しがり屋だ。昼間のクールさはどこに消えてるんだか……そのギャップに打ちのめされてる自分も大概だが、まだ、僕も若いってことだな、と思う。それはケントも負けてない。 実年齢より遥かに若く見える外見は、詐欺に近い。抱いてる時もここに来て随分と経つのに、いつまで経ってもウブなままだ。 そんなことを思ってると、ムクムクと自分の中心に熱か集まって形を変えていく。 「もう1回しようか。ケントの可愛い姿見てたら元気になっちゃったよ。ケントの所為だからね？僕も若いからね。盛るのは諦めて？」 「……やっ……も……ムリ……」 躰を撫でるとゆったりと身を捩る。 「それじゃ抵抗になってないよ？」 と僕はクスクスと笑ってしまった。まだ、種火が燻っている躰に火を灯すのは簡単だ。 その辺のサルのようにがっつきはしない。ゆっくりとケントをその気にさせる愛撫を繰り返して欲しがるまで躰を撫でたりキスをしたり躰にキスをしたり、キスマークをつけたり…… 胸の尖りを舌で転がしてやるのが1番早く腰が揺れる。けれど、そんな早急な求め方はしない。すでに空っぽになるくらい出させている。 ジワジワと追い上げて、女性のように高ぶらせていく。今の気持ちで抱いてしまったら、きっと乱暴になってしまう…… 特別可愛がっていた部下ではないが、己の手の者が撃たれるのは気分のいいものではない。その逆に、ボッケリーニの手の者も潜んでいるだろう。ケントが僕の弱点であることも知られているはずだ。だからこそ手元から離すことは出来ない。 肌に唇を落としながら、その愛おしい存在を確かめるように舌を這わせる。 若い頃から遊びに興じていた訳では無い肌は本当に染み1つない。ホクロさえない肌は滑らかで、さわり心地が良い…… ビクッビクッと反応する度に『ｱｯ、ﾊｯ』と熱い息が口元から漏れる。 僕もやっと手に入れたこの温もりを手放す気などさらさらない。さらに他人に奪われるなんて以ての外だ。だからこそ武装をしているし、今後の着替えは見せていこうと思う。 ケント自身にも銃の訓練をさせていく必要が出てくるだろう。あくまでも護身としてのもので、本格的な攻撃を仕掛けるようなものでなくていい。自分が攻撃を受けた時に逃げられるようにはしておいてやりたい。 「あぁ……ンっ……やっ、アッ、アッ」 執拗に前立腺を刺激すると数回水のようなものを飛ばしイッている。イッたままで挿入してやると悲鳴のような声を上げながらギュッと締め付けられる。 ――持ってかれるかと思った…… ふぅ、と息をつき、その締めつけの中、腰を揺らすと、眦から雫を流しながら息も絶え絶えに喘ぎ、乱れる。 「あぁ……ぃぃ……あぁん、」 「……ケント……好きだよ……ずっとそばに居てくれる？」 「いる、いるからァ……好き……あぁ……」 言葉で確認しないと不安になる自分も弱くなったと思う。