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デ・ペンデント ・ ケント 4
――同期?
年齢は随分違うようだが……
不思議な顔をしているとサルヴィオが気づく。
「ロレンソ、紹介しておく。彼がケントだ。表の仕事の補佐をしてもらってる。で、ケント、こっちの彼はロレンソといって僕の片腕だ。裏の仕事の方を任せている。僕と一緒に色々と学んだ学友でもある。主にここの邸宅で仕事をしてくれている。」
「初めまして……よろしくお願いします」
何をよろしくなのか分からないが、出てきた言葉がそれだった。
「ロレンソです。よろしくお願いしますね。」
と握手を交わす。2人の信頼関係は揺るぎないものだと何となく感じた。それは嫉妬などという感情は湧かず、どちらかといえば『共犯者』の香りがする気がした。
「まだ、仕事が残ってるんだ、ケント、護衛をつけるから、先に休んでてくれるかい?」
「護衛なんていらないよ同じ敷地内にあるんだ。遠くないし、必要ない。」
「ダメ。こっちの仕事のことを知ったでしょ?まぁ、知らなくてもキミは僕のアキレス腱だと知られてるだろうから危ないんだよ。キミが護身で銃を発砲出来るなら話は別だけど、護身術も身につけてない、銃も使えない、じゃ、この国では自分の身を守れないよ?」
渋々了承をして護衛をつけられて帰宅する。その護衛はどこまで着いてくるのか……聞いてなかったから、そのまま部屋にまで入った。
「もう、大丈夫です。仕事にお戻りください」
と告げるが、動く気配がない。この部屋には催淫剤入のお香が充満している。オレがこの香りが好きなのと、求められた時にすぐその気になる為だ。さすがに、素面では直ぐに応えることが出来ないことがわかっていたからだ。
そのお香が悪く作用してしまったみたいで、スーツの前を膨らませて直立不動で立つ男を早く追い出したかった……が……
急に押さえつけられて、ベッドに押し倒される。これはさすがにヤバい。サルヴィオ以外に抱かれる気は無い。
シャツを裂かれ、男の舌が肌の上を這うのが気持ち悪い……はずなのに、快楽に慣れた躰は快楽を拾うことに長けていた。上半身の感じる場所をしつこく愛撫され、オレ自身も中心が形を変えていく……嫌なのに……
「ぃやっ……やめ……あぁ……はァ……」
ベルトを外し、スラックスを下着ごと脱がされて直接ペニスを咥えられて、垂れた唾液や愛液で濡れた後孔も音を立てて舐められる。指を入れられて快楽を無理やり引きずり出されながら、いつの間にか男も全裸になっていて、舐めろ、とフェラを強要してきた。口に押し付けられ、雄の匂いのするペニスに舌を這わせる。
お香にオレも酔ってきていた。目の前にあるのはペニスで相手の男の顔が見えていない。サルヴィオのものとは違うはずなのに、それがサルヴィオのものと勘違いをしてしまうほどには酔っていた。咥えこんで感じるように舌を這わせていると、突然、口からペニスが抜かれて、後背位で後孔に背中に舌を這わせながら男が入ってくる。
「あ……あぁ……あ……やめっ……やめっ」
さすがに挿入されれば形や大きさが違うから圧迫感が酷く、正気に戻ってくる。
「ダメ……やめっ……ヤッ……ダッ……」
どんなに叫んでも、扉は防音になってるから外の護衛には窓が割られない限り、聞こえない。身を捩ろうとしても、頭を押さえつけられて動けない。
――護身術も銃も撃てないから危険だ……
護身術さえ身につけてれば、こんなことにはならなかったろう……悔し涙で目の前が歪む。それでも快楽に流される自分の躰が憎らしい。
動きが早くなり、フィニッシュを迎えようとしている男の腰遣いが激しくなると
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ……」
悲鳴のような自分の声が部屋に虚しく響く。躰の奥に熱い飛沫を浴びせされていた。
そのままうつ伏せでぐったりしていると男はまだ、腰をつかみあげてまだ、続けようと後孔にペニスを宛てたその時だった。
ガツっ、という音がして、男が横に吹っ飛んでいった。サルヴィオが鬼の形相で、男を蹴ったのだ。そのまま胸のホルダーから銃を抜き出してその男を撃とうとしたのだ。
さすがに火事場の馬鹿力と言うべきか、疲弊した躰からは信じられない勢いで、サルヴィオに飛びついた。
「それだけはやめて……サルヴィオ……お願い……オレはっ……オレは……」
フー、フー、と獣のような息を整えて銃をホルダーに戻し、ごめん、と言いながら抱きしめられた。そのままの体勢のまま、どこかに電話をかけると、数人の男たちが部屋に入ってきて、気を失ってる男を全裸のまま連れ去り、早に脱ぎ捨てられた彼の服はゴミ箱に捨てられた。
10分も経たないうちに、銃声が数発聞こえてきた。その間、ずっと無言で抱きしめられていたけれど、彼の命を救うことは出来なかった。
「……ケント、とりあえずお風呂に行こう。目障りなものを掻き出したい……」
静かに怒りを滲ませたサルヴィオが怖くて、ただ、頷いた。ドアを閉めてサルヴィオが目の前で服を脱ぎ出す。ゴトっと音をさせたのは、肩にかけるタイプの銃のホルダーだ。両サイドに2丁の拳銃が刺さっている。そのうちの一丁を取り出して撃とうとしていた。しかもかなりの速さで、取り出して躊躇なく撃とうとしていたのだ。自分のした事への……サルヴィオという人物を作り出してしまったことを深く悔いいることとなった。
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