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クリミナル アクト ♾ サルヴィオ 16

部屋のドアを開けると同時にベッドの上で裸でセックスをしてる姿が目に入り、ケントの悲鳴が轟いた。誰かがケントを抱いている……? 中出しされてドサッと音を立てて抱かれてた方が倒れるが、まだ腰を上げて突っ込もうとしてるのは、アナルだ。ぽっかり開いた穴から抱いていた男が吐き出した白濁が零れ落ちている。 「イヤ……ヤッ……」 拒絶の声はか細いが間違いなくケントの声だ。 一気に頭に血が上って怒りが込み上げてくる。 そのままの勢いで、ケントをさらに犯そうとしてる男に向かって走り出していた。ベッドへ飛び乗った勢いのままジャンプをして、飛び蹴りでその男を頭から蹴り落とした。僕の頭の中には一言しか無かった。 殺してやる!!殺してやる!!殺してやる!! 「それだけはやめて……サルヴィオ……お願い……オレはっ……オレは……」 ケントに抱きとめられて、少しだけ我に返るとそこには見覚えのある部下の全裸の姿が横たわっていた。ケントを送らせただけのはずが送り狼になるとは…… 手元を見るとその部下に向かって銃口を向けていた。ケントの前で銃を構える姿を見せてしまうとは不覚だ。拳銃を仕舞い、ロレンソに連絡をする。今の僕は冷静な判断が出来ないから、判断を任せる、と。 その後、ロレンソは部下を消すことを選択した。アンダーボスのオンナに手を出すのはご法度だと示しを見せたのだ。この部屋の(こう)にやられてしまったのかもしれない。すでに慣れてしまった僕やケントはそれほどの影響はないだろうが、慣れない人間にはよく効いてしまうのだろう。だが、部屋まで送れ、とは指示していない。ケントを抱きしめていると段々と冷静さを取り戻していくが、汚された痕跡は残っている。シーツの交換を指示して 「……ケント、とりあえずお風呂に行こう。目障りなものを掻き出したい……」 部屋の隅でスーツを脱ぎ、テーブルの上にガンホルダーを置くとゴトッと音がする。2つの銃が刺さっているのだから、それなりの重さがある。裸になるとケントを抱き上げて風呂に向かう。ケントは完全に腰砕けになっていて、自力で歩ける状態ではなかった。 湯をかけてボディソープで躰を愛撫するように優しく躰を撫でるように洗う。ビクッビクッと躰を揺らす。『ハッ、ハッ』と息を漏らして感じている。1度ボディソープを流してから、シャワーヘッドを外して腸内洗浄をする。奥から出てくる白濁にイラッとはするが、いつもは自分のものが出てきてるわけだから、見慣れてはいるものの、他人のものだと思うと腹が立つ。 「ケント……これから抱いても平気?」 「……うん。今のままじゃ気持ち悪い……」 「怖い思いをさせてごめんね?」 「サルヴィオの所為じゃない……」 「今度から人選はきちんとする。僕もこんな思いをするのは今回限りにしたい……」 「嫌な思いをさせてごめん……オレも護身術を覚えた方がいいね。」 浴槽の中で抱きしめてキスをする。僕以上に傷ついてるのはケントのはずなのに、僕を責めようとはしない。むしろ、自分を責めている。 「……今日は優しく出来ないかもしれないよ?それでもいいの?」 「むしろその方がいい。さっきのことを忘れるくらいに……頼みたい……」 色んな僕を見せすぎてしまった…… 僕が何故、アンダーボスまでのぼりつめたのか、たぶん、今日の僕を見て理解はしたのだろう。僕は平気で人を傷つけたり撃ったりする人間だ。そう教育されて育ってきた。 生き残る為の手段だった。どれだけ仲間を蹴落として這い上がるかの闘いだった。上位5名だけが幹部クラスに残れる。世界各国から次々と連れてこられる子供たちの中からだ。能力や適応のない者は言われれば仲間でも撃ち抜いた。そうやって生き残ってきた。今、この手の中にいる男を手に入れる為に。どこまで冷酷になれるか、が試される。だから僕らはボスという飼い殺しの存在を後ろ盾にして、アンダーボスとして暗躍する。 ボスを飼い殺しにするのは古参の人間を黙らせるためだ。それさえ排除出来れば、ボスの息の根を止めても問題は無いのだが、中途半端の立ち位置の連中の謀反が面倒だ。 組織内抗争など面倒くさいだけの恥さらしだ。僕はそう思っている。今日、殺ったヤツがスパイの1人だったかもしれない……ケントに何故部屋にまで入れたのか聞いてみると、無言で着いてきた、という。殺ろうと思えばケントなどあっという間に殺れたはずだ。 今となっては真偽を確かめる術はないが、ケントを狙ったことには間違いなさそうだ。ところが部屋の催淫剤に負けた、というところだろうが、僕が戻ってきたことが誤算でもあり、チャンスを失う原因でもあっただろう。 僕らの組織はピラミッド型になっている。僅かな頂点から下に行くほど人数はそれなりにいるが、養っていくにはそれなりの費用がかかる。だからこその密売組織であり、あらゆる薬物から銃火器まで仲介屋を通して世界各国で売買されている。場合によっては空港や警察で押収されたモノを各国に設立している研究施設に運んでモルヒネや向精神薬、麻酔などにして医療従事に役立ててもいる。 売るだけではなく、応用もしている。その場合の研究費用は各国で保証してくれる。化学に秀でていた者は出身では無い国へ配属している。研究費用は各国で出してくれている。研究費用、相応の給与を差し引いた額がこちらの取り分になるが、慣れた者に関してはそのまま継続させる者、新しい薬品の研究に移る者と分かれたり、新しい研究員を派遣する。決して売り物を無駄にはしない。それが僕らのやり方だ。
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