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デ・ペンデント ・ ケント 6

セックスしてる時のサルヴィオはさすがの若さ、というか、なんと言うべきか…… 強い快楽を与えられて、正常位で抱かれてる時にうっすら眸を開けて表情を見ると、間違いなくオレで感じてくれている。荒い息遣いと、うっとりとした表情、征服欲を満たされたような複雑な表情をしているが、それは男としての(さが)でもある。手に入れて抱いたオンナに独占欲があるように脳が出来ているようだ。 抱かれていたって、脳は男のままだ。オレだってそれなりの嫉妬をするだろうと思う。キスマークがその独占の証であるなら、オレもつけてみたい、と思った。 先ほどの怒りをぶつけるような激しい腰の打ち付けに、今はそんなことをする余裕はない。 「はっ……あぁ……やぁ……あぁ、あぁ、あっ」 喉からつき上がるように出てくるは、躰が悦びを伝える声だけだ。 「……お……く……きもち……イィ……あっ…」 「……はっ、この辺?」 快楽の息を吐きながら、ズンと重く突き上げてくる。それが堪らない。 そこを強く突かれ続けると、頭が真っ白になる。でも、気持ちいいからつい、言葉に出てしまう。背を仰け反らせながらその快楽に溺れると胸を突き出す形になるので、その胸の尖りの口に含まれ、甘噛みの後で、優しく舐められると堪らない。 『オンナ』にさせられた、と言われても否定はできない。事実12歳も年下の男を咥えこんで悦がっているのだ。万が一、サルヴィオに別の相手ができても仕事は失わない努力はしている。否が応でも年齢は重ねていく。10年経ったとしても今の自分の年齢に届かないサルヴィオといつまでこんな関係が続くのか、が分からない。 いくら『初恋の人』だったとしても、重ねていく年の衰えには抗えない。 それまで質素に暮らしてきたオレにとって、ここでの食事はあまりにも違いすぎる、というのもある。美容に気を遣わなかった訳じゃない。武器を失うにはまだ、勇気が足りなかったからだ。仕事に失敗すれば少なくとも懲役刑を食らうし、下手すれば余罪も明らかにされて重刑になることは間違いなかったし、その前に消されてしまう可能性だってあった。 それを救う形となったのがサルヴィオではあるが、いつまでサルヴィオのオモチャでいられるかなんてわからない。それを聞くのも怖い…… 「……そこっっ……イィ……あ、ァん……」 この快楽の渦の中でいつまでもこの男の手の中にいられたら……と思うことはあるけれど、以前も告げたように『飽きた時にはサルヴィオの手で殺して』欲しい…… もう、自分では制御の効かないところまで来てしまった。抱かれてる時に感じてる熱、愛を囁く口唇、全てが自分に向かないと不安になる。そんな自分に嫌気をさしながらも、引き返せない自分は弱くなったと思う。ただ、この温ま湯の中でひたすら浮いていたいのだ。 時間が止まれば……と思うこともある。 『真田岳人』と出会った頃の自分に戻れないだろうか……無理なことだ。15年前に戻れることなどない。今のままでいられもしない。誰にでも平等に時は流れる。 出会った頃の岳人が1桁の年齢からもう成人してることからもそれは現実だ。 三十路を超えたおっさんを抱いていて何がいいのかわからない。サルヴィオはあの頃とかわらないというが、そんなことがあるわけがない。 それ以前に、この歳になってまさか抱かれる身になるとは思いもしなかったことだ。そういった性癖の人はもっと早い時期にそれに目覚めてそういう思考の人と一緒にいることが自然だし、そういった店にだって行ったことはない。 イタリアに来たことによって、年齢のわりに淡白に生きてきたことが、幸か不幸かどっぷりとそっちの道に進んでしまった。 最終的にサルヴィオはどうしたいのだろう?捨てる時は『殺せ』という約束は成就されることはあるのだろうか? サルヴィオの手練手管によってそんな考えも、真っ白に塗り替えられていく頭の中ではどうでもいいことになってしまいそうだった。

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