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クリミナル アクト ♾ サルヴィオ 20

「お互いに碌なことを考えてないで、今を楽しまなくちゃね……?ケント」 ――お互いに……? ケントは首を傾げている。が…… 「んぁぁ!!ハッ、はァ、アッ、ンン……ん」 強い突き上げに乳首も舐められその舌が首筋を(ねぶ)る。弱い耳元で囁きながら息を吹きかけると甘い声を上げて身を捩る。 「はぁ……ケント……んッ……愛してる……どんなことがあっても……んッ……僕は……キミだけ……はぁ……だから……君も僕だけ……」 口唇が口元に来る。軽く触れながら 「……んッ……当たり前……の……こと……あぁん……言ってんじゃねぇよ……アッ……んッあぁ……他の……ヤツ……気持ち……わる……ぁん……ゃん……アッ、ふか……イィィ……」 もっと言いたそうな表情をしていたけれど、僕はこの男を手放さない為にし必死だ。快楽に溺れさせ、離れられないように仕込んでいる。 いや、追い詰めてるのか、依存してるのかわからない。ただ、手離したくない。 これから年齢を重ねていけば、お互いに今のままを保つのは難しいだろう。この綺麗な顔も表情も少しずつ失っていく。けれど、衰えようが、ケントであることには変わりない。 最初は顔や躰にドキドキして勝手に好きになった。けれど、ケントの本質を知れば知るほどにその本質まで愛おしいと思う。 僕のために尽くしてくれる姿は男ながらにカッコイイと思う。僕にはない経験や知識を持つ彼は会社としても欠かせなくなっている。 最近は男の色気も出てきて、積極的なイタリア女性に猛アプローチを食らってることも聞かなくても知っている。女を抱けない躰にしたのは僕自身だが、女にでも嫉妬するほどに僕は目の前で乱れる男に盲目だ。 12年の年の差は確かに、知識や教養の部分で劣るところは多々ある。ただでさえ、インターナショナルスクール出身で、イタリア語は学んでなかったが、日本語に英語、フランス語、スペイン語が話せる。その上に経済に詳しく、僕の知らない空白の期間の経済や物流の動きを熟知している。あんな地味な生活をしなくても、国際的に活躍できる場があったというのに…… 本人には、借金返済しか頭になく、無事に大学を卒業することだけが、目標であり、達成して大企業に就職したのはいいが、そこでも1年営業のノウハウを学び、サポートに回ってからの指示も的確で、担当した営業の仕事のやり取りに関して的確な指示を出していた。 それも世界情勢を踏まえての指示だっただけに順調に回っていた。それを海外事業部に役立てない会社も節穴だ。人数が多いこともあって、一人一人の力量まで気が回らなかったのかもしれないけれど、成績を見れば一目瞭然だろう、と何故、気づかなかったのか…… しかも直属の上司と来たら、電話をかけてきたと思えば、いきなりの粗雑な扱いを伺わせる酷い口調だった。だから、わざと日本語を避けて話し始めた。そんな扱いに満足していたのかもわからないが、ただ、この男は目立たなければそれでいい、と決めて生きてきていた。 僕はそれを許す気はないし、ここでは目立つ、目立たない、は関係ない。ケントの決めたことは僕の指示として部下に指示を出していることも、ケントにとっては安心のひとつなのだろう。出来る人材なのに、ものすごく1人ではない他人の前で指示を出したり、目立つとを嫌う。それはそれまでに生きてきた経験に基づくものなんだろうけれど…… 組織の資金繰りが上手く運んでいるのは、ケントが来る前と後では明らかに違う。この先、組織にとってもブレインとなるだろう。トップを狙うためのキーになると言っても過言ではないだろう。その後継者の教育も必要とするだろう。ただ、この男の場合、孤独と向き合うために仕入れていた情報だ、というのが教えるのに適しているのかはわからないが、そのうちに後継者を育てなければならないだろう。 「……好き……だ……ケント……僕から……はっ、絶対に……離れないで……」 「ァん……あぁ、その言葉……んっ……そっくり……やぁん……かえ……す……あぁん!!」 可愛い返事だ。ケントのイイところを強めに攻めながら、その表情は恍惚としている。 ただ、この関係だけは誰にも譲る気は無い それだけは絶対に譲れない部分だ。

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