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Prologue-4
「早く帰ろう」
優斗は足を早めて歩いた。
すると、
『……ユウト』
優斗を呼ぶ声がまた聞こえてきた。それは、授業中に聞いた声よりも、さらにはっきりとした声だった。
「何?」
あたりを見回しても誰もそこにはいない。
『ユウト……』
もう一度、優斗を呼ぶ声がした。響く声は、とても澄んだ声だった。
声は優斗の頭に直接響いているようだった。優斗にはその声が一体何処から来るのか分からなかった。だけどその"存在"を感じる事は出来た。その時…。
"彼"が目の前に現れた。
淡い水色のマントに、剣。銀の髪と澄んだ紫の瞳をした。そして、ものすごく綺麗な顔の・・・。まるでその人は・・・・。ファンタジーの映画とかアニメやゲームに出てくる騎士みたいだった。
(何かのアニメのコスプレ?か何か?)
でも、アニメのコスプレにしては、妙に、リアルで細部が安っぽくはない。剣だって、着ている仰々しい服装だって何もかも、形だけのペラペラなものなんかじゃない。
ホンモノに見える。
(どういう事?)
なんかありえない・・。ありえなさすぎる・・・。優斗はパニックになる。するとまた、頭の中にまたあの声が響いた。
『ユウト・・やっと会えた』
"彼"は、微笑みながら優斗に近づいて来た。
すると、横の路地からいきなり誰かの手が優斗の腕を掴んだ。そして、優斗は、フラっとバランスを崩して、そのまま、その影へと倒れこんでしまった。
『ユウト……!!』
叫び声がしたけれども優斗には分からなかった。
………
……
…
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