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第Ⅰ章/ 向こう側の世界-1
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その時、優斗は地面に叩きつけられるのを想像して思わず目を瞑った。だけど、それは誰かに支えられてその誰かの胸の中に飛び込む形になっていた。
(これはさっき掴まれた手の主なのか?)
一体何が起こったか分からなかった。その誰かは……ギュっと優斗を抱きしめてきた。
「誰?何っ!!」
思わず声を上げてその抱いて来た相手を見ようと振り向く。そこには優斗には全く見覚えのない男の顔があった。
その男は黒い髪と赤い瞳の男で特徴的なのは、右頬の耳の下あたりからこめかみにかけて刺青なような一瞬から草模様にも見える何かの紋様があった。
この男もさっきの銀色の髪と紫の瞳の男とまた違った整った綺麗な顔をしていた。さっきの男よりも、色が浅黒くて態度も乱暴な感じだった。でも、やはり何処かゲームかアニメとかに出てくるキャラみたいだ。
(さっきから本当に俺、おかしくなった?)
幻覚が見えるほどに、特に熱中してゲームばかりやった覚えはない。なのに何でさっきから、こんな非現実的なヤツばかりが目の前に現れるんだ?
「自分から飛び込んで来たなんて、嬉しいよ」
その男ははっきりとした口調で話した。声は癖のない低い声だった。だけど、その発する言語は優斗には聞いたことの無い言葉だった。
だけど、優斗はその言語を理解してしまっていた。
(なんで……?何を言ってるのかわかるんだ?)
まるでその言語は何処かで聞いたことのあるようなそんな気になっていた。
「皇子のパートナーはオトコって聞いたから、正直萎えたけど。でも、お前は可愛いな」
そいつは、そのまま優斗を地面に押し倒して上にのし掛かってきた。
「……何?何するんだよっ」
背中に当たった地面はいやに柔らかい。たしかここは、路地裏の暗いじめじめしたアスファルトの道路だったはずなのに。
「皇子のパートナーはちゃんと純潔か?よかった。今の皇のはだめだったしな」
"早くやっちゃいなよー"
何処からか違う声が聞こえた。
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