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向こう側の世界-2

そこには、何か奇妙な生き物がいた。それは、まるでファンタジーゲームのゴブリンみたいなやつだった。 (え?何、マジでコスプレ?……にしては妙にリアルだよね。ってかあり得ない。こんなものがいるって) そのゴブリン2人が優斗を見て囃し立てるように手を叩きながら嬉しそうに "やっちゃいなよー" と言っていた。 「何なの?」 あまりの出来事にパニックになっていると、そこで、優斗はもっとすごい事に気がつく。 「……ここは何処なんだ?」 ゴブリンのいるその後ろに広がっている風景、それと、目の前に覆いかぶさっているこの男の後ろに広がる風景は…? 空は同じ夕闇に包まれていた。でも、ここは、じめじめした暗い路地裏なんかじゃない。優斗は首を巡らしてよく辺りを見た。 明らかに森の奥としか言いようがない木々と草と・・濃い緑であたり一面に生い茂っている場所だった。 「ここ何処っ!?お前っ俺を何処に連れて来たんだ?」 優斗は覆い被さっている男を退かそうとして必死に暴れる。だけど、男はびくともしない。 「暴れるな。お前の力じゃどうにもならない。俺を引き剥がすことなんてできないよ。それに、無理矢理連れてきたんじゃないよ。お前がこちら側に引き寄せられたんだ。俺はただきっかけを与えただけ。俺じゃなくても、皇子が連れてきただろうよ」 「何言ってるか全くわからないんだけど?」 「分からなくてもいいさ、俺は、お前を、皇子のパートナーのお前を奪えばいいだけ」 「何?その皇子とか、奪うとか」 その男の赤い瞳が楽しそうに笑っていた。 「こうするまで……!」 男は思い切り優斗の服を切り裂いた。

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