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向こう側の世界-7

「あなたは一体誰?パートナーって?」 優斗は急に思い出したように身体を離して、ランフィスを見上げる。 「それに一体ここって何処??俺は夢を見てるの?早く、早く戻らなきゃ……」 (今週末には母さんが帰ってくるし……) 「夢ではないよ。ここは陽の国という。そして…私はこの(よう)の国の皇子。ランフィス・ラ・エリオール。あなたは、私のパートナーとしてこちらの世界へ呼ばれたんだ」 ランフィスは優斗の目の前でそっと跪きその手の甲へ静かに口付けた。 (……え??キス・・・・!!!!) これは何処をどうみても、よくお姫様とかにやるキス。 「ちょ・・」 その瞬間、口付けられた手の甲から、ランフィスに触れられている場所すべてが熱を帯びた。 (何コレ……?) 優斗の頭の中がなにかボワっとして何も考えられなくなった。それに、ランフィスにもっと、傍に・・・。"もっと来て欲い……"と・・・・感じた。 ……それは、痺れるような感覚。 「ここはあなたの住んでいた世界とは違う。あなたの世界で言えばこちらの世界は幻界のようなもの」 「幻界?」 「そう、幻の世界……。だけど、私達からみればあなたの住んでいた世界のほうが幻界になる」 「……でも、でも俺、戻らないと。じゃないと」 ランフィスはその紫の瞳を少し曇らせた。 「……戻る方法は殆ど無い。それに、あなたはこちらの世界に来るのが"運命"」 「運命……?」 「神の定めた(しるし)がある限りそれはここにいるのが運命と言える」 .

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