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向こう側の世界-8
すると、突然、何処からか風が吹いてきた。
(今度は何……?)
優斗が空を見上げると、何か空の上から白い塊のようなものが見えた。それはどんどん近づいてきて、周りの草と木々を風で揺らしながら、それが地面に降り立った。
それは、白い馬のような動物2匹。翼が生えていた。馬とはまた違う。
(これはペガサス?)
その1匹の上には誰か乗っていた。
「天馬ですよ」
ランフィスは静かに微笑んだ。その顔を見て、優斗はすごくドキッとした。
(さっきから、俺……。まるで、乙女か?なんで、笑顔なんかにドキっとかするんだ?)
優斗は気を紛らわす為に天馬をじっと見つめた。翼の生えた天馬は真っ白で風にその鬣が揺れるさまはとても綺麗だと思った。
そして、少しグレーがかったローブを着た男がおもむろに天馬から降りた。
「ユウト様はご無事だったんですね?」
その男はおそらく中年前後だろうとは思ったが、年齢が良く分からない容姿だった。
肩まである真っ直ぐな黒髪。そして緑の瞳で。だけど、表情の読めない冷たい感じがする整った顔の男だった。何処かしら威圧感のある……。
(彼が、さっきギオが言っていた"怖い魔道士"?)
優斗がじっとその男を見つめてると彼はそのまま近づいて来た。
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