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再び-2
「あの皇子に対して貞操を守る?あいつはね。俺以上にお前の気の力が欲しいハズだよ」
ギオはニヤッと笑う。
「あいつが欲しいのは印 があるお前の身体と気の力」
「ギオこそ、そうじゃないかっ!」
「純潔を奪って力を得る。そうだよ。それは欲しい」
「だけど、それは皇子には発揮されないって」
「でも、あの皇子のやろうとしている事も同じだよ……ユウトによって力を得るんだ」
「それは……」
優斗は言葉に詰まる。ランフィスの記憶の渦にのまれて少しだけ視えたから。
(ランフィスは闇となってしまった地を取り戻す為に"力"を欲している………)
だけどそれは、ギオの言う"力を欲しい"とは意味合いが違う。優斗はそれを上手く言い表すことが出来なくて歯がゆかった。
ギオはまた畳みかけるように言う。
「俺は違うよ。気の力もいいけど、"お前"が気に入ったんだよ」
その時、何処からか、鈴のような何か金属の鳴る音がした。
"・・・シャン・・!"
「クソッ。ビィか」
"・・・シャン・・シャン!!・・"
先ほどよりももっと音が強くなって聞こえた。と同時にギオの姿が歪み、周りの闇が急に白く変わっていった。
ギオは優斗の耳元へ、
「素直に俺のモノになればいいよ。俺はお前をものスゴく可愛がるから」
そっとそう囁いた。優斗はその赤い瞳に魅せらられたようになって目が離せなかった。
だけれどもものすごく……。
(……怖い…怖い…助けて、だれか……)
優斗はまるで、蛇に睨まれた蛙みたいに怖くて動けなかった。
"シャン!!"
より一際大きな鈴の音がすると、ギオは消し飛ぶようにパッと消えた。
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