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現皇-2
「会うって言われても、どういう風にしたらいいかわからないんだけど」
優斗の今までの生活の中で偉い人…しかも皇様なんかには会ったことはないというか、一般的な高校生には縁もない話だ。
「私と同じ様にしていればいいから」
ランフィスは事もなげにそう言った。
(同じ様にと言われても、それが困るんだよ)
まあ、子供の頃からこういった環境にいるランフィスにはわかんないのだろうと思った。
優斗が廊下に出ると、ランフィスと同じぐらいの年齢の男が控えていた。
(騎士っぽいかんじ?)
優斗がそう思っていると、
「おはようございますランフィス様」
男が頭を下げて挨拶をしてきた。
「おはようございます、ユウト様。昨夜は遅いので挨拶を控えさせて頂きましたが、私は、ランフィス様付きの侍従のレンと申します」
優斗にも深々と頭を下げる。
「……あの、宜しくお願いします」
優斗はどうやって接していいか分からなくて固まっていると、ランフィスがレンの紹介をした。
「レンは、私の護衛兼お目付け役みたいなものなんだけど、元々私の幼馴染だから、そんなに堅苦しい態度はしなくていいよ」
面を上げたレンは、ランフィスと比べると少し荒っぽい感じな、それでも、かなりの男前な面立ちだった。
綺麗な緑の瞳に少し茶髪がかった黒髪。肩に掛かるか掛からないかの髪で、上着の青い色がよく似合っていた。
優斗はその瞳がすっと冷たくなったように一瞬見えて、その様子に少し怪訝に思うが、
「ランフィス様のパートナーであるユウト様。ランフィス様同様お仕えさせて頂きたく、宜しくお見知りおきをお願い致します」
そう言ったレンは、すぐに柔和な瞳の色に戻っていてそんな事をすぐに忘れてしまった。
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