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現皇-4
優斗が複雑な顔をしていると、ランフィスが言った。
「みんな、ユウトが可愛らしいからそう噂しているんだよ」
「可愛い?この俺が?」
「そう。だから自信を持っていればいい。ユウトはこの私のパートナーなのだから堂々としていればいい」
そんな事を言われても、戸惑いを隠せない優斗だった。そういえば、着替えを手伝ってくれた侍女達も口々になにか優斗を褒めていた。
(綺麗とか可愛いとか、言っていたよな)
だけど、それはその侍女達が皆どちらかといえば年配の女性ばかりだったし、子供に対するというか若い自分に対するよくある褒め言葉なのかなとか思っていた。
(可愛いとか。こんな男の俺に言うのだろうか?)
優斗はますます戸惑うばかりだった。
………
………
謁見の間の重厚なドアが開かれ、その奥には現皇がいた。皇の名はバスティン。ランフィスにはあまり似ていなかった。
線が細く、色が白く、どちらかと言えば大人しい印象だった。対照的なのが、現皇のパートナーのレイアだった。彼女は、とても肉感的で、目を見張るような美女だった。それは、まるで、静と動の組み合わせだった。
「あなたが、ユウトですか、これは、とても可愛い方ですね。異世界の方は、もっと違うように聞いていましたが、あなたは、まるでこちらの世界の人々以上に繊細に見える」
にっこりと笑った皇の顔はとても温和で優しかったが、何処となく元気がなく儚げに見えた。
(覇気が無いかんじ?)
優斗がそう思っていると、その隣にいた皇のパートナーのレイアがそっと皇の手をとって、そのまま傍の椅子へ座らせていた。
そして、そのレイアが後をつぐように言った。
「皇の身体は日に日に弱くなっています。ランフィス殿が継ぐ者としての役目を一刻も早く果たすようにお願いします」
凛としたその声が広間に響いた。
………
……
…
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