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この世界の理-6

「大昔はこちらの世界とユウト様の向こう側の世界は自由に行き来できたといいます。ユウト様は、おそらく、こちらの世界から行った者の血を引き継いでいるのでしょう」 「って事は、俺は、先祖がこっちの世界にいたってこと?」 自分の先祖がこっちの人だった?優斗はいきなりそんな事を言われて驚く。 「こちら側の世界の血を引いているという証拠に、ユウト様がこちらへ来た時に、すぐに言葉を理解されましたよね?それはユウト様が受け継いでいるこちら側の世界の力と思われます」 「……あ」 優斗は今更ながら気が付いた。 (たしかに、そうだ。最初来た時には、言葉が理解できるのが不思議だったんだけど、色々な事がありすぎて、気にしている暇もなく来てしまった……) 「でも、かつては行き来出来たって言うってことは今は…?」 「行き来出来たのは、大昔の事。今はその道が塞がれてしまっています」 「何故?」 「異世界とこちらの世界を繋ぐ道はお互いの意識での引き合いによって出来るもの。いくらこちら側が向こう側の世界の存在を知っていても、向こう側の住人の多くが、こちらの世界の存在を否定してる今では、意識は引き合わず、繋ぐ道はありません」 否定している。たしかにそうかもしれない、こんな幻界とか異世界とかの世界。おとぎ話でしかない。今までの優斗はそう思っていた。

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