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この世界の理-7
「でもだったら何故俺はこの世界に来る事ができたの?皇子も、闇の皇子も俺を見つけに俺の所へ来たじゃないか」
「それは皇子とユウト様の印 が呼応し引きあって、道が出来たからです。闇の皇子は、その道をたどってあなたの元へ行ったのでしょう」
呼応する印 。印は呼応する。そして引き合う。だからお互いの呼応で道が出来る。
「それじゃあ、俺がこちらに来たから、もう、向こうへ行く道は?」
「……ありません」
向こう側へ行く道はもう無い。
「……俺はここにいるしか、無いの?」
「……はい」
「もう、帰れないの?じゃ、向こうにいる俺の両親とか友達とか……それに」
(二度と会えないの?俺が急にいなくなったら…)
それは現実なのか?優斗の頭の中がどんどん真っ白になっていくのがわかった。
「本来ならゆっくりと、時間を掛けてこちらにお連れしたかったのですが、現皇の衰退が著しく、一刻も早くにユウト様をお連れする必要があったのです。それは本当に申し訳ないと思っております」
ビィは頭を下げる。
「もし、俺が、パートナーになるのを嫌がったら、拒否したら?」
「……それは、皇となったランフィス様に力が得られなくなり、世界の闇が止まらなくなります」
「そうなると?」
「すべてが闇の世界に覆い尽くされ、世界は闇のものになり。闇の世界になると闇が好きな魔が蔓延る。そうなると、向こう側の世界にもなんらかの影響は出るでしょう」
ビィはそう言った。
「何故、俺なんだ?なんで俺に印 を付けた?この世界の神ってやつは何故、俺にこんな理不尽な事をするの?」
優斗はどうしたらいいかわからなかった。
こんな世界なんて知らない。
知らない・・・・。
逃げられないなんて。
逃げられない。
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